Duskin Leadership Training in Japan

最終レポート

プロフィールに戻る

ケサブ・タパのファイナルレポート

ダスキン研修生としての初めての日本

2016年9月11日、私は第18期ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業の研修生として、関西国際空港に降り立ちました。ダスキン愛の輪基金および日本障害者リハビリテーション協会(JSRPD)のスタッフの皆さんとお会いすることになる、すばらしい瞬間でした。引き続き、他の国からの、他の研修生に会い、これもすばらしい瞬間でした。当初、日本ではありとあらゆることに驚かされました。ネパールとは環境が大違いなのです。たとえば、建物、広い道路、交通。行きかう人々もみんな急いで見えました。

日本語の授業

日本に来る前、私が知っていた日本語といえばちょっとした挨拶だけでした。ですから、日本語や日本語の文字の勉強は実に楽しみにしていました。平仮名も分かるようになりましたし、自分の名前もカタカナで書けるようになりました。最初分かる文字といえば平仮名だけで、単語は全然わかりませんでした。最初の数日、日本語の音調はとても変に感じ、発音も、覚えるのも大変でしたが、三か月ほど経って、簡単な日本語で会話したり簡単な文章を書いたりはできるようになりました。先生方の教え方には感嘆しました。丁寧に教えていただき、自分でも頑張った結果、日本語がだんだん上手になりました。みんな発音が違うし先生方の教え方がおもしろく、飽きるということがなかったので、大変楽しい授業でした。日本人の友達も少しでき、前の研修生とも連絡を密にとって、彼らを相手に日本語で会話の練習をさせてもらいました。日本語能力試験のN5レベルに短期間で合格できたことを知った時は、本当に嬉しかったです。

水泳とスキー研修

私が障害者になったのは2011年のことです。T6とT7のレベルの脊髄損傷です。事故に遭う前はときどき水泳もしていましたが、障害者になった以降は日本に来るまで泳いでいませんでした。水泳の最初の二日は嫌というほど水を飲んでしまい、身体障害があるとこれほど水泳も違うのかという印象でしたが、数日練習したあと泳ぎができるようになってきて、研修の終わるころには自分で泳げるようになりました。

スキー研修では新潟に行きました。それまでスキーはテレビでしか見たことがありませんでした。二日スキーをする素晴らしい経験ができて大変嬉しかったです。私の場合、雪は目新しくはありませんでしたが、スキーがこれほど楽しいものだとは思ってもみませんでした。言葉では到底その楽しさを伝えきれません。何度も転びましたが、こんなアドベンチャースポーツを経験できとても嬉しい気持ちでした。

個別研修

個別研修では最初につくば自立生活センターほにゃらを訪問し一週間研修しました。日本の自立生活センターを訪れたのは初めてでした。研修の間、自立生活センターの活動について、また、日本の障害者の生活について少し学びました。私の日本語はまだあまりうまくありませんでしたが、スタッフの皆さん、とくに斎藤さん、川島さん、生井さんが熱心にサポートしてくださいました。Google翻訳を使うなど技術があったおかげで、言葉の壁はあまり大きな問題になりませんでした。ほにゃらでの研修は素晴らしかったです。たくさん新しいことを覚えられるのが楽しかったです。次にまた一週間の研修として、ヒューマンケア協会を訪れ、自立生活センターのコンセプトや障害者のための自立生活センターの運動や活動について学びました。日本に来る前は、自立生活センターについてあまり知らなかったので、すべてが重要な知識でした。私の考え方自体も変化し始め、自分の将来についてよりよく考えるようになりました。

DPI日本会議でも非常に実りある大事な経験をしました。国連障害者権利条約や、さまざまな国際障害者機関のつながりなどについて知りました。また、重複障害のある人たちが日本では大変苦労して権利を勝ち取ったことを知り、日本のバリアフリープロジェクトについての映像を鑑賞する機会もありました。

神奈川県総合リハビリテーションセンターと全国脊髄損傷者連合会では、日本の脊髄損傷者のリハビリプロセス、生活、損傷後のセルフケアについて学びたいと思っていました。日本のリハビリプロセスはネパールとそう変わりませんでしたが、機器の量が違い、日本のほうがずっと充実していました。全国脊髄損傷者連合会は脊髄損傷の治療のための研究に大変な投資をしています。

さらに、電動車いすの工房であるさいとう工房でも素晴らしい研修をしました。車いすのメンテナンスのほかに、ハビブさんと斎藤さんから、日本では必要な人に車いすを提供する福祉サービスがあるのだと知りました。また、さくら車いすプロジェクトについても少し学ぶことができました。

大阪には2か月半行きました。最初の三週間は自立支援センターぱあとなぁに滞在し、さまざまな障害について、また、自立生活センターの活動についてさらに詳しく学びました。スタッフも利用者の皆さんも大変親切でした。いろいろなミーティングのほか、車いすバスケ、卓球、ボウリングなどスポーツも経験しました。また、神戸、奈良、京都ではおいしいものをたくたん食べ、素晴らしい景観を楽しみました。また、障害者がどのように自立生活を送っているのか知るため、友人の家にも泊めてもらいました。地村さん、そしてぱあとなぁのスタッフや会員の皆さんにはこのような素晴らしい機会を与えていただいて感謝しています。ぱあとなぁでの三週間の後はメインストリーム協会での4日間でした。このように短い間に、素晴らしい友人たち、そして私のメンターになってくださった廉田さん、平田さんから本当にたくさんのことを学びました。メインストリームでは、古木さんのお宅で素晴らしい3日間を過ごしました。古木さんは私を大変励ましてくださいました。アクセシブルな環境づくりのための廉田さんの苦労も大変なものでした。また、志ネットワークの、アジアの自立生活センター支援活動についても知りました。その後はムーブメントで三週間過ごしました。素晴らしい人たちと、車いす工房のほか、障害のある学生のための特別支援学校、障害者のスポーツセンター、自立生活夢宙センターほか多くの施設を訪ね、あっという間の三週間でした。たくさんの知識を得て自信もつきました。ムーブメントの利用者、スタッフの皆さんに御礼申し上げます。渕上さんにも温かくもてなしていただき、ありがとうございました。

写真1
写真2

将来の目標

日本で、大切なサービス、福祉システム、障害者のための法律、人権、そのほか多くのことを学びました。10か月の研修でたくさんの障害者リーダーに会い、日本の1965年頃の状況がどのようなものだったかのお話を聞きました。私の国ではアクセシビリティが大きな問題ですので、物理的なインフラ、教育、さまざまな障害の人がアクセスできるような道路のゾーン分けなどについて政府や政府機関と交渉することが私の目標です。また、障害者の教育、就労、福祉システム、重度障害者の介助サービス、自立生活のコンセプトについても活動したいと思います。

まとめ

グループ研修も個人研修も大変よい経験でした。個人研修は短いときもありました。いろいろな障害の人に会い、真の勇気ある人たちや障害者運動のリーダーの話を聞くことで、エネルギーが湧きました。自分は障害があるからいろいろなことができないのだとずっと思っていたのが実は間違いだったということに気付いたのです。障害者になったのは自分が悪いからではなかったのです。重度の障害のあるリーダーの人たちの話で、障害それ自体が問題なのではなく、社会のせいで問題にされてしまっているのだということ、そして社会の考え自体を変えなければいけないのだということが分かりました。また、専門家に何でも任せるのではなく、自分から、健常者と同じコミュニティに、同じ権利のもとで、尊厳をもって同じように参画できるのだということを理解できるようになりました。自分の人生について決断をし、生活のための良い環境を作っていくことは実は自分の仕事なのだということに気付いたのです。個人研修で一番良かったことは、日本でたくさんの友人ができたことです。友人は何より大切です。母国に帰ったら、日本で得た知識と経験を活かしたいと思っています。

ありがとうございます。

最後になりましたが、この恵まれた国際研修プログラムでの滞在中私を助けサポートしてくださった皆さんに心からの感謝を捧げたいと思います。ダスキン愛の輪基金は私たちに重要なことを学べる素晴らしい機会を与えてくださいました。また、JSRPDと戸山サンライズのスタッフの皆さん、ありがとうございました。那須さん、光岡さん、地村さん、渕上さん、中西さん、廉田さん、ハビブさんに敬意を表します。また、直接、あるいは間接的に私を日本で支えてくださった皆さん、本当にありがとうございました。

top page