Duskin Leadership Training in Japan

最終レポート

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コックシェング・チャンのファイナルレポート(チャプター1)

新しいろうの世界を発見して

新世界への旅―2010年8月31日

日本に来る前の私は、とある会社で働いていましたが、ほかの人たちが私だけ「どうせ耳が聞こえないのだから」とミーティングに呼ばないなど、差別されていることを感じることがあり、仕事環境に満足していませんでした。また、私はジョホールのろう協会(SDJO)の委員としても働いており、多くのろう者が問題に直面しているのを目の当たりにしていました。その人たちに、ダスキンのリーダーシップ研修にぜひ参加して来て、問題解決にあたって欲しいと頼まれました。私自身も、新しい経験をする良い機会だと思ったので、この研修プログラムに興味をもちました。研修生として選ばれたときは、それまでマレーシアでそのようなチャンスを手にしたことがなかったので、信じられませんでした。私の家族はとても協力的でした。妻も私を応援してくれ、出発の日には家族全員と友人20名ほどが空港に見送りに来てくれました。飛行機の中では、はたして日本語でコミュニケーションできるだろうかという不安に駆られ、日本語の教科書を開きましたが、まったく頭に入りませんでした。機内を見回すと、ほかの人は皆寝ており、読書灯をつけているのは私だけでした。翌朝、大阪に到着する前には、窓からたくさんの小さなヨットや船が見えました。海も日の出もたいへんきれいでした。窓から見下ろす都会の摩天楼もとても清潔な感じでした。空港では、那須さんとはじめとする皆さんに出迎えていただきました。皆さんはたいへん親切に、また礼儀正しく接してくださいました。

3ヶ月の日本語研修

日本語研修では日本語と日本手話を学びました。最初は、日本語はひらがなとカタカナだけだと思っていましたが、漢字もコース内容に含まれていたので驚きました。日本語には興味があったので、一生懸命勉強しました。日本語の先生は技術がすばらしく、教えていただいたことをよく理解し身につけることができました。とくに佐藤先生の授業は面白おかしく、しょっちゅう笑っていたことを忘れられません。私も毎日先生方と冗談を交わしていました。今ではひらがなとカタカナが読めるようになりました。また、漢字も読めます。先生方に感謝したいと思います。日本語の手話はとても簡単で覚えやすく、興味深かったです。末木先生はいつも私とティンザーを先生のご友人やいろいろなグループに会わせてくださり、手話でコミュニケーションする機会を設けてくださったので感謝しています。またそのような機会を通じて、日本の文化についても学びました。日本語は私にとって第二の母国語になりました。今では私の生活習慣も一部日本化してしまいました。

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楽しい思い出

1. ホームステイ

一週間のお休みがあり、ホストファミリーの家に滞在する素晴らしい経験をしました。ホームステイでは長崎県の原田さんのお宅にお世話になりました。雪が降って、雪の上に「DUSKIN」と文字を描いたりしました。寒くないかと聞かれましたが、楽しかったので寒さを感じませんでした。また原田さんのご友人のお宅でお餅つきを経験しました。ついた餅を月のように丸い形にするのはおもしろかったです。また新年には、高級なレストランにも連れていっていただきました。そこでは生きた海老が出てきましたが、それに怖気づいている私(それまで生きた海老を食べたことがありませんでした)を見て、みんな笑っていました。実際に勇気を出して食べてみると、たいへん美味しかったです。また硫黄泉にも連れていっていただきました。臭いがありましたが、とても気持ちよかったです。そのほかにも、長崎や大分のいろいろな場所に観光に連れていっていただきました。温泉には大分でも行き、楽しかったです。それから、後期江戸時代の坂本龍馬の話を聞きました。私も、経済に強くて民衆のためにいろいろなビジョンを描いていた龍馬のようなリーダーになりたいと思いました。原田御夫妻は、ときどきざっくばらんにものを言い合っていますが、とても温かく親切でした。私の日本のお父さんとお母さんである原田さんご夫妻には、一週間お世話になり、かついろいろな体験をさせていただきました。心からお礼を申し上げたいと思います。一生忘れません。

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2. スキー研修

スキー研修は新潟の越後湯沢で行なわれました。私はそれまでスキーをしたことがありませんでした。先生は膝をやわらかく、重心を低く保つようにと教えてくださいました。先生は大変なプロで、ジェスチャーを使って教えてくださいました。何度も転びましたが、痛いどころか楽しく、そのうちに滑ることができるようになりました。すると先生は高台のほうに連れていってくださったのですが、道路のほうに落ちて死ぬのではないかとたいへん怖かったです。しかし、しばらくすると一人でも滑られるようになりました。そして夢の中では先生よりスキーがうまいのです!ハハハ。次回は先生に、私の妻と子どもにもスキーを教えていただきたいです。スキー研修は7人の研修生全員にとってたいへん楽しい研修で、お互い雪を投げ合って、また瀧沢さんにも雪をぶつけて遊びました。忘れられない思い出です。

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新しいろうの世界の発見! 東京JASS でのプレゼンテーションスキル研修

19日間かけて、プレゼンテーションスキルを学びました。将来的にもたいへん有益なスキルです。高草先生は、厳しいながらも非常に緻密に熱心に教えてくださり、この素晴らしい学びの機会に私のプレゼンのスキルは上達しました。もう一人の大森先生はたいへん優しく、文法の間違いなどを正してくださいました。また、落ち込んだときは辛抱するようにと励ましてくださったことにお礼を申し上げたいと思います。辛抱して練習しているうちにプレゼンができるようになり、ジョホールのろう者について、またマレーシアの文化の一環である旧正月の習慣について発表をする機会を与えられました。このプレゼンは成功に終わり、25人ものろうの人たちが私の発表を見に来てくれました。しかし私は、まるで試験官を前にしているような気になってすっかり緊張してしまいました。2日後、先生方のおかげで、間違いはいろいろあったもののプレゼンについては良い結果をいただくことができました。これからも頑張ろうと思います。先生方のことは忘れません。

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