Duskin Leadership Training in Japan

最終レポート

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キム・ビョンフンのファイナルレポート

来日

私は2005年8月30日に大阪に来ました。東京には旅行で訪れたことがありましたが、大阪は初めてなので楽しみでした。大阪は東京よりも人が少ないと感じました。そして、大阪のろう者と話をした時に「大阪の人の方が積極的でおもしろい」と思いました。

日本語と手話

私は以前、ソウルにある教会の日本語教室に通い、日本語を勉強していましたが、ほとんど忘れていました。私は日本で3ヶ月間、日本語と日本手話を勉強しました。

日本語には、ひらがな、カタカナ、そして漢字があります。全部を覚えるのは難しく、苦しかったです。日本手話の勉強の時、分からない単語について質問をすると、先生は日本手話と身振りだけを使って説明しました。その頃は日本の手話が上手ではありませんでしたから、なかなか理解することが出来ませんでした。

3ヶ月間の日本手話研修のあとも、日本のろう者の手話を全部読みとることは出来ませんでした。なぜなら、手話クラスでは見たことがない表現を使っていたからです。わからない時はすぐに聞いて、辞書で調べるようにしました。

韓国手話と日本手話はほとんど同じだと思っていましたが、同じ表現でも意味が異なる単語がたくさんあることに気が付きました。例えば、日本手話で「好き」という表現は、韓国では「パンツ」という意味です。また、日本手話で「ダメ」と表現は、韓国手話では「良い」という意味になります。韓国に行く機会があったら間違えないよう、どうぞご注意下さい。

スキー研修

1月に新潟県津南市でスキーをしました。今年は積雪量が多く、4メートル近く雪が積もっていました。私は韓国で何度も雪を見ていますが、6人の研修生は雪を見た事がありませんでした。初めての雪にはしゃぐ、みんなの姿を見ていると、私も幸せな気持ちになりました。スキー研修期間中に私は27歳の誕生日を迎えました。私のためにみんなが誕生日ケーキを準備してくれました。予想もしていなかったことにビックリしましたが、うれしかったです。今年の誕生日のことは一生忘れられないでしょう。

ホームステイ

お正月に名古屋の今村彩子さんの家でホームステイをしました。今村さんはろう者で、ダスキンの個人研修でアメリカに行ったことがあります。忘年会に参加したり、年賀状を書いたり、神社に行ったりして、日本のお正月を満喫しました。また、今村さんのお友達の家へ行って、料理対決をしました。日本人チームがのりまきを作り、私と今村さんはビビンバとチヂミを作りました。ホームステイは本当に楽しかったです。

演劇の研修

1.第8回演劇ワークショップ2005

2005年10月8日から10日まで北海道へ行き、演劇のワークショップに参加しました。日本全国から健聴者とろう者が集まり、劇の練習をしたり、交流をしたりしました。自分が今まで持っていたワークショップのイメージは、健聴者主導で行われているというものでしたが、実際に参加してみると、ろうの劇団員が主体となってワークショップを進めていました。

1日だけでしたが、大館さんの指示のもと、劇の撮影をする様子を見ました。大館さんは、ろう者で映画監督です。アメリカにはろう者の映画監督が数名いますが、日本では大館さん1人だけなのだそうです。本当にすごいと思います。とても勉強になりました。

2.デフパペットシアター・ひとみ

「デフパペットシアター・ひとみ(以下、デフ・パペ)」はプロの人形劇団です。私は初め、人形劇に興味がありませんでした。しかし、研修を続けるうちにだんだんと興味がわいてきました。デフ・パペの特徴は、ろう者と健聴者が一緒に劇を作っていることです。それだけでもすごいのに、殆どの健聴者は手話で会話することができ、驚きました。私は公演の準備や稽古を見学したり、ワークショップに参加したりしました。デフ・パペでは、照明や舞台装置、衣装の準備も全て自分たちでします。酒井さんが衣装を作っているところを見せてもらいましたが、とても上手でした。そして、地方公演にも同行させてもらいました。遠いところでは、宮崎まで一緒に行きました。とても良い経験になったと思っています。ワークショップは、「箱」というテーマで行われました。その内容についてみんなで意見を出し合い、それをもとにしてさらに練習しました。

また、善岡さんと一緒に劇のPRのため、高校や手話サークルなど、色々な場所を訪問しました。デフ・パペにはHPがあって、公演の情報を見ることができます。それなのに、わざわざPRに行く理由が私には分かりませんでした。デフ・パペの人形劇には音声の台詞がない作品があります。健聴者の中には「手話がわからなかったら楽しめないのでは?」と考える人がいます。PR活動は、その不安を取り除き、より多くの方に劇をみてもらうためにあります。そこで、実際にサインマイムなどを見てもらって、手話がわからなくても楽しめることを知らせるのです。HPで情報を得るだけよりも、手話マイムを見てもらった方がチケットを買いやすくなると思いました。

デフ・パペの研修では、健聴者、ろう者に関係なく、劇を見にきて楽しんでくれることが一番うれしいと思いました。デフ・パペで学んだことを韓国の劇団でも実践してみたいと思います。

3.オフィス風の器

庄崎さんはろう者でプロの役者です。そして、「オフィス風の器」を一人で立ち上げました。オフィス風の器で研修している間に、色々なことを経験しました。例えば、庄崎さんのワークショップに参加しました。参加者は健聴者の劇団員ばかりでした。参加者は手話がわからなかったので、私はコミュニケーションが取れずに困ってしまいました。しかし、庄崎さんは身振りや手振り、筆談などを使って劇を教えていました。それを見て、「こういう方法もあるんだ」と勉強になりました。庄崎さんの表現力はとてもすばらしいです。

5月10日、11日に庄崎さんと一緒に公演をしました。内容は、「サインマイム」、「シムチョン(韓国の寓話)」、「ロミオとジュリエット」の3本です。まずは公演の準備のため、チラシやチケット作成の方法などを教えてもらいました。絵コンテの書き方も教えてもらいました。そして、一番大変だったのは脚本作りです。脚本を書くのは、今回の「ロミオとジュリエット」が初めてでした。脚本作りは本当に難しかったです。自分のアイディアを庄崎さんに上手く伝えられず、くやしく感じたこともありました。

庄崎さんは「サインマイムは自分で考えて作りなさい」と言って、手伝ってくれませんでした。どうすればいいのか、すごく悩みました。でもそのおかげで、自分で作り上げたサインマイムを披露できました。他にも、受付の仕事や案内、PRなど、初めてのことだらけで、悩んだり戸惑ったり苦しんだりしましたが、その全てが忘れられない経験になりました。

庄崎さんは「劇というのはうまく表現できるようになることが目標ではなく、見にきてくれた方たちに楽しんでもらえることが一番大切だ」と教えてくれました。

7人の研修生

来日したばかりの頃、研修生の仲間たちと話をしたいと思いましたが、私は英語が全くダメなのでコミュニケーションが取れず、とても残念でした。そこで、ワーユさんと相談して、研修生に日本手話を教えることにしました。それから少しずつ、仲間達と話ができるようになり、嬉しかったです。ただ、視覚障害の2人は手話が少ししか分からなかったので、あまり話をすることが出来ませんでした。しかし、外出時の手引きなどのサポートを通じて、コミュニケーションを図ることが出来たと思っています。研修生の仲間とは一緒に出かけたり、ご飯を食べたりして、楽しい思い出をたくさん作りました。これからもみんな一緒に頑張っていこう!

最後に

日本で、劇に関して色々と学んだことで、視野を広げることができました。日本で学んだ事は全て、韓国の劇団のメンバーに話してあげたいと思います。また、子供たちに劇を教えてみたいです。

「デフパペットシアター・ひとみ」の皆さん、そして庄崎さん、色々なことを教えていただき、ありがとうございました。これからは演劇活動を通して、情報交換ができたらと思っています。そして、(財)広げよう愛の輪運動基金の皆さん、私を研修生として選んでくださったことに心から感謝しています。また、(財)日本障害者リハビリテーション協会の皆さん、お世話になりありがとうございました。その中でも特に、色々とお世話になった那須さん、本当にありがとうございました。那須さんがいたからこそ、頑張る事ができました。

最後に、私の研修を支えてくださった全ての方々にお礼を言いたいです。みなさん、ありがとうございました。

サランへヨ(愛しています)

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