第1章.「 大視会 」 ってどんな組織 ?

−大視会がわかる10問10答−


Q1. 大視会はどのように組織されているのですか。
A. 大阪府下に在住する方 、若しくは隣接する府県で大阪に縁のある方、 またはそこに組織かない方で 本会の運動に共鳴される方なら誰でも参加できる組織です。
本会では、 活動のまとめをしたり、 運動方針を決めるために毎年一回定期総会を開きます。
 また本会は、 行政区に対応した大阪支部、 北支部、 堺支部、 松原支部、 東大阪支部の5支部から構成されています。
 総会と総会の間では各支部の代表、 青年部、 女性部、 その他専門部の代表などが参加して、 運営委員会を年に数回開き、 その間の具体的課題を決め、 それに基づいて運動を進めています。
 本会の役員は、 会長をはじめ副会長、 事務局長、 事務局次長、 会計および執行委員で構成し、 執行委員以外は、 会員の投票による選挙で選びます。
なお、 会員は誰でも役員に立候補することができます。
 日常的活動機関としては、 事務局 ・ 「 こぶし 」 編集部などがあります。
また、 青年会員を中心に青年部が、 女性会員を中心に女性部が専門部として活動しています。
さらに、 具体的な課題に対応した専門委員会などを置いています。


Q2.  加盟団体 「 全視協 」 との関係はどうなっているのですか。
A.  本会は各都道府県組織の集合体である全日本視覚障害者協議会 ( 全視協 ) に加盟しています。
そのため、 入会と同時に全視協会員ともなります。
全視協とは全日本視覚障害者協議会の略称で現在組織として加盟しているのは25の都道府県です。
 全視協は1967 ( 昭和42 ) 年5月14日大阪において結成されました。
その当時大阪をはじめ福岡、 高知、 和歌山など各地で視力障害者の差別と偏見に反対し、 生活と権利を守る運動が すすめられており、 その運動は1962年創刊された 「 点字民報 」 を通じて交流されるという状況にありました。
「 点字民報 」 創刊以来の各地でのねばり強い活動の蓄積は、 自主的民主的な視障者全国組織の結成を準備し、 またその必要性をつくり出しました。
 このような全国情勢の盛り上がりの中で、 多くの視障者の期待と関心を集め、 1都2府7県 ( 福岡、 高知、 兵庫、 和歌山、 大阪、 京都、 新潟、 長野、 東京、 岩手 ) の代表によって 「 全視協 」 は結成されました。
「 全視協 」の結成によってまた、 その年の9月には 「 全国障害者問題研究会 」 ( 全障研 )が結成され、 その年の暮に 第1回の障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会 ( 障全協 ) の大会と、 中央交渉が成功し障害者運動が全国的に 大きく発展する第1ページが開かれました。


Q3.  大視会は他団体とどのような協力関係を持っていますか。
A.  大視会は毎年秋に、 近畿地方に所在する団体と 「 関西手をつなごう集会 」 を行い、 JR西日本など10数箇所と交渉を 持ち、 多くの成果を上げています。
また、 点字が日常生活のあらゆる場面で遭遇する標示物に用いられると共に、 行政サービスの分野でも公の文字として 認知されるようにとの願いを実現する 「 大阪点字の市民権を広げる運動 」 にも積極的に参加しています。
 一方、 「 全視協 」 結成に先立つ1966 ( 昭和41 ) 年12月大阪における障害者 ( 児 ) の共闘組織として、 障害者および 障害児の家族の組織などを中心に 「 心身障害者 ( 児 ) 大阪懇談会 」 が結成されました。
この懇談会は障害の種別や程度を越えてその要求実現のために共に手をとりあってすすむことを目的に、 翌年の2月には 第1回の 「 障害者 ( 児 ) の教育、 医療、 生活をよくする 」 対府交渉が開かれました。
この対府交渉の成功は私たちに大きな確信を与えると共に、 統一して運動をすすめることの重要性を教えてくれました。
その後懇談会は大きく発展し、 「 障害者 ( 児 ) を守る全大阪連絡協議会 」 ( 障連協 ) へと発展し、 その活動の輪は ますます広がり深まっています。
このような 「 全視協 」 及び 「 障連協 」 の運動は私たち 「 大視会 」 の運動にとっても極めて大きな励ましと教訓を与えてくれる ものです。
「 全視協 」 は視障者を結ぶ縦の糸、 「 障連協 」 は大阪における障害者を結ぶ横の糸、 この縦糸と横糸を固く織りなし 障害者の明るい明日のためにも、 私たちの加盟団体として大きな役割を果たしています。


Q4.  活動状況を伝えるニュースを発行していますか。
A.  毎月月初めに 「 こぶし 」 という会報を発行しています。
普通字 ・ 点字 ・ テープおよびメール版の4種類を発行していますので、 自分の利用しやすいものを一つ選んでいただきます。
主な内容は、 大視会として今取り組んでいることや会員へのお願い、 取り組まれた行事や活動に参加しての感想や報告、 新入会員の紹介や会員の消息、 私の趣味、 イベント情報、 事務局からのお知らせなどです。
さらに、 会員の意見や疑問など生の声も掲載されます。
会員一人一人が書き手であり読み手であることをモットーとしています。
窓口として 「 こぶし 」 編集部が担当しています。
 なお、 定期以外に臨時にニュースや事務局通信が発行されることがあります。


Q5.  視覚障害者福祉協会との係わりについて教えて下さい。
A.  同じ視覚障害を持つ仲間たちの団体ですから、 共通の要求では共に運動して行きたいと考えています。
 2000年以降、 鍼灸学校新増設に反対する運動を共同で進めてきましたが、 今後とも要求の一致点で運動の輪を広げて 行きたいと考えています。


Q6.  大視会と政党との関係についてはどうなのですか。
A.  大視会は人間としてふさわしい生活を実現することを活動の目的としています。
この目的を実現するために私たちは、 いろいろな 「 政治的方法 」 を使います。
デモ行進 ・ 行政への交渉や抗議葉書 ・ 議会への請願署名運動などです。
 この際、 政党は働きかける対象として重要な役割が期待されます。
議員を通じて生活要求を実現することは、 多くの場合有力な方法だからです。
 私たちはどの政党に対しても基本的には等距離の関係にあります。
しかし各党の態度は、 議会請願で議員控室回りをした時などに象徴的に表れます。


Q7.  文化 ・ レクリェーションなどの活動も盛んなようですが、 具体的に教えて下さい。
A.  大視会では、 会員相互の親睦と交流の場、 会員外の方との交流の機会を提供するため、 旅行や各季節ごとのイベント、 例えば恒例ともなっている冬の餅つきなどを企画しています。
こうした企画は会運営の円滑化をはかるためにも大きな役割を果たしています。


Q8.  青年部はどのような活動をしているのですか。
A.  「 友だちがほしい 」 「 恋人がほしい 」 「 悩みや夢を語り合いたい 」 など、 青年なら誰もが持っている思いでしょう。
青年部はそんな若い仲間の思いを大切にして活動しています。


Q.9  女性部はどのような活動をしているのですか。
A.  女性部は、 視覚に障害を持つ女性の視点で、 女性の労働の問題 ・ 子育ての苦労や喜びを語り合います。
また、 視覚障害をもつ女性が生き甲斐を持って生活者としても地域で自立できるよう悩みを出し合い要求にして、 その願いが実現できるよう力を合わせて運動を進めています。


Q.10  電話生活相談活動の状況を教えて下さい。
A.  大視会では、 電話による生活相談をお受けしています。
 相談内容は生活上の問題から仕事や生きがいの問題、 教育や医療に関する相談などで、 それらを解決できるよう 頑張ります。
 一方、 年々増え続ける中途視覚障害者からの相談はきびしいものがあります。 電話相談は、 生活相談を通して見えて くる視覚障害者の実態をよく把握し、 要求にして新たな運動を進めていくための大切な活動です。



第2章 大視会の沿革


1. 会の結成


 大阪視覚障害者の生活を守る会 ( 以下大視会という ) は、 1962 ( 昭和37 ) 年2月10日に、 大阪市立盲学 校の卒業生を中心に結成されました。
 当時大阪市立盲学校には、 視覚障害者の民主的なサークル 「 富士の会 」 ( 1958 ( 昭和33 ) 年6月結成 ) が 活発に活動しており、 「 富士の会 」 は勤評 ・ 安保の両闘争と共に生まれ、 育ったサークルで、 学内の民主化 ・ 他 の盲学校や普通高校の人達との交流 ・ 障害児教育の改善と充実 ・ 3療業界のおくれた現状の改革 ・ 障害者に対する 差別の根絶など、 幅広い要求を掲げて活動していました。
 しかし、 会員の中から卒業生がふえると共に、 活動が学内に限られていたのでは視力障害者運動としての発展もないし、 視力障害者の要求を真に実現することもできないという声が高まってきました。
こうして、 「 富士の会 」 の卒業生支部 ( これが 「 守る会 」 の母体となります ) が生まれることになりました。
しかし、 卒業生たちはお互いに職場や家庭などで孤立しており、 連絡も十分にとりあえないところから、 支部結成の具体的 な準備は当時の生徒たちの手で進められ、 そして、 手紙の交換や学校を早引きしての家庭訪問などで卒業生との連絡を とったり、 支部の運営について話し合ったりしたうえで、 第1回目の支部会議を開くことになり、 その会議には 卒業生4、 5人と生徒の方から3名が参加し、 定期的に会議を開くこと、 お互いの悩みや要求を協力して解決していくことなどを 決定しました。
こうして、 卒業生の組織は 「 大阪視力障害者の生活を守る会 」 としてスタートしました。
 そして同年7月には、 「 点字の学習書がたくさんほしい 」 という要求が高まる中で、 「 富士の会 」 や大視会の会員によって 始められた、 点字印刷機購入のための募金活動は、 「 点字民報社 」 の設立という形で実を結びました。



2. 大視会のこれまでの成果


(1) 晴眼女子マッサージ師養成施設設立阻止
 1967 ( 昭和42 ) 年10月24日、 当時大阪市立盲学校高等部主事であったN氏が中心になって、 大阪府衛生部を 通じて厚生省にマッサージ養成施設設立の申請を出しました。
この施設は 「 新日本女子鍼灸マッサージ専門学校 」 といい、 トルコ風呂 「 ニュージャパン 」 の経営によること、 しかもその教員として盲学校の現職教員が3名、 元教員が2名、 名を連ねていることもわかりました。
このことに対して本会をはじめ各団体は、 4項目の理由を掲げ設立阻止の闘いを展開しました。

(2) 点字書名権の確立
 「 大視会 」 が他の障害者団体と共に要求行動に立ちあがって初めての輝かしい成果のひとつに、 この点字署名の運動 ( 詳しくは地方自治法による直接請求署名に点字を認めさせる運動 ) があります。
 運動のきっかけをなしたのは、 1968 ( 昭和43 ) 年の春に行なわれた私立高校生に月1000円の教育補助金を 支給させる条例制定の署名運動で、 点字の署名が認められていないのは視力障害者に対する権利の侵害ではないか、 という実行委員会の問題提起によるものでした。

(3) 街づくり運動での成果
 自治体交渉では、 障害者に対する交通安全対策のひとつとして横断歩道に 「 点字ブロック 」 を敷設させ、 「 音の出る 信号機 」 を設置させました。
 駅ホームの安全対策では、 1973 ( 昭和48 ) 年2月1日東京高田馬場駅で上野さんの転落事故が全国に衝激を与え、 それを機に各地で 「 プラットホームは欄干の無い橋に等しい、 ホームに欄干を付けてほしい 」 との要求が強まり、 大阪でも、 駅のホーム下点検 ( 1976 ( 昭和51 ) 年) を行い、 市営地下鉄を中心に 「 前駅ホームに点字ブロックを敷設するように 」 要求し、 1980 ( 昭和55 ) 年末には、 大阪の地下鉄全駅 ( 当時81駅 ) ホームに点字ブロックを敷設させることができました。
その後も人員削減や合理化が進む中で、 真の安全対策を保障させるための運動に全力を尽くしています。

(4) 大学の門戸解放と障害者の雇用促進運動の成果




第3章 私たちの要求



 視覚障害者の生活と権利を守り、 真の生活向上と完全な社会参加を保障させるため、 以下の4つの柱を要求の基本として 積極的に活動します。

1 視覚障害者のくらし、情報、移動の要求


(1) 福祉 ・ 教育 ・ 医療切り捨ての大阪府 「 財政再建プログラム 」 に強く反対し、 府民が主人公の財政再建を強く求めます。

(2) 「 障害者対策に関する新長期行動計画 」 の重点施策実施計画である 「 障害者プラン ( ノーマライゼーション7カ年戦略 ) 」 の問題点を明らかにし、 その「地域版」づくりを推進します。

(3) 公共交通機関に対して視覚障害者の安全を守らせるため、 営利優先・安全軽視の姿勢を転換して、 駅ホームの人員 削減 ・ 無人化 ・ 案内放送の縮小に反対し、 視覚障害者の安全と利便を確保するよう要求します。

(4) 点字誘導ブロックの敷設 ・ 音響式信号機の設置を促進し、 美観優先・安全軽視の行政の姿勢を転換させ、 視覚障害者 の立場に立った新安全システムの開発を要求します。
また、 点字誘導ブロックの標準化について討議を進めます。

(5) 居住地での移動の自由を確保するためにも、 福祉タクシー制度の充実を図るよう関係機関に強く働きかけ、 その制度化を 求めます。
また、制度がある地域はそれ以上の充実を要求します。

(6) JRをはじめ各交通機関に対し、 単独割引をはじめ各種割引制度の実現を要求します。

(7) 通知 ・ 広報 ・ 議会だより ・ 預貯金通帳など全ての情報が、 全盲者には点字、 弱視者には大活字で提供されるよう、 各関係機関に要求します。

(8) 点字選挙公報の法制化を目指して、 「 点字の選挙のお知らせ 」 を全ての自治体選挙で発行するよう要求し、 当面 大阪市及び可能な自治体からその実現をはかります。
また、 点字による在宅投票制度の復活 ・ 点字投票の秘密保持などを強く要求します。

(9) 日常生活用具給付品目の拡大、 特にパーソナルコンピュータや電話ファックスを認めるよう要求します。

(10) ヘルパー制度の充実を図るため所得制限の撤廃 ・ 利用時間の延長 ・ 対象範囲の拡大 ・ ヘルパーの資質の 向上などを求めます。

(11) 国民のための電気通信事業を守るため、 「 104電話番号案内 」 は無料が当然の方針を進め、 104の夜間 ・ 早朝案内 廃止や料金値上げ、 および市内通話料の値上げに反対します。
また、 電話による視覚障害者情報サービスの充実を要求します。


2 中途視覚障害者、 盲重複障害者、 高齢視覚障害者、
弱視者、 無年金者などの要求


(1) 中途視覚障害で悩み ・ 苦しんでいる人を励まし、 その人たちの暮らしや医療 ・ 社会復帰を求めます。

(2) 弱視者の運動と連帯して、 弱視者にとっての所得保障 ・ 各種割引制度における格差の是正 ・ 駅や公共施設等の 安全指針の見直し、 文字保障に関する制度の確立を要求します。

(3) 視覚障害者の老後を考え、 その問題点を明らかにし解決方法を見いだします。

(4) 父母 ・ 教職員などの運動と連帯し、 盲重複児者の教育 ・ 仕事の保障を求めます。

(5) 生活できる年金制度の確立をはかるため、 物価に応じた額と所得制限の大幅緩和 ・ 無年金者をなくすための救済措置 の拡大、 塩見訴訟の最高裁裁判を支援します。



3 あはきをはじめとする仕事、雇用の要求


(1) 開業者として生活できるあはき医療の確立を目指し、 懇談会などを企画し技術交換を行いレベルアップをはかります。
また、 無免許者の取り締まり ・ 晴眼者の進出規制を要求します。
さらに、 療養費問題では鍼灸と一般医療との併用 ・ 柔整師なみの療養費への引き上げ ・ 対象疾患の期間延長などを 要求します。

(2) 全国病院マッサージ師連絡会 ( 全国病マ連 ) の自主的な運動と連帯して、 マッサージ師の不安定雇用の解消 ・ 身分 の引き上げ、 さらに診療報酬点数におけるマッサージ技術料の適正評価と引き上げ ・ 理学療法士との格差是正 ・ 物理療法 項目点数の大幅引き上げなどを要求します。
また、 視覚障害者マッサージ師の職域縮小に断固反対します。

(3) 視覚障害者雇用の一環として各種企業がヘルスキーパーを採用するよう積極的に働きかけると共に、 不安定な身分の 解消 ・ 待遇改善を要求します。

(4) あはき以外の職種にも視覚障害者を雇用するよう強く働きかけると共に、 採用後の職場定着のための施策の実現を 要求します。
また、 雇用率未達成企業への雇用納付金制度の抜本的見直しを強く要求します。



4 日本国憲法と人権の要求

(1) 府及び市町村は災害時における障害者に対する安否確認、 避難、 避難所生活についてのマニュアルを作成し 対処するよう働きかけます。

(2) 府及び市町村は12月9日の 「 障害者の日 」 の啓蒙、 宣伝に努めるよう要求します。

(3) 日本国憲法の平和的 ・ 民主的原則を守り、 これを侵すあらゆる動きに警戒し、 視覚障害者の生活と権利を高めるため 各種行事に積極的に参加します。

(4) 恒久平和 ・ 地球環境保護の観点から核兵器の廃絶を強く求めます。



5.  21世紀への要求


(1) 視覚障害者も運転できる車の開発を進めることを求めます。

(2) どこにでも独りで自由に行けるよう、 宇宙衛星によるナビゲーションシステムの開発を強く要求します。

(3) 視覚障害者もひとりで自由に新聞や雑誌が読めるような機器の開発を求めます。





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