障害者白書の刊行に当たって

障害者白書は、平成5年に施行された「障害者基本法」に基づき、障害者のために講じた施策の概況について毎年国会に提出している年次報告です。平成6年に初めて刊行されてから今回で31回目となります。

「障害者差別解消法」は、行政機関等や事業者に対して、「障害を理由とする不当な差別的取扱い」を禁止するとともに、「合理的配慮の提供」を求めており、これらを通じて障害者の活動を制限し、社会参加を制約している社会的障壁を取り除くことで、全ての国民が障害の有無にかかわらず相互に人格と個性を尊重し支え合いながら共生する社会の実現を目指しています。

令和6年4月1日には「改正障害者差別解消法」が施行され、事業者による「合理的配慮の提供」が、努力義務から義務へと改められました。

本白書では、「改正障害者差別解消法」の施行を踏まえ、「改正障害者差別解消法」の概要を改めて解説するとともに、関係府省庁及び地方公共団体における「対応要領」の策定及び改定の概要や、関係府省庁における「対応指針」の改定の概要、内閣府による「つなぐ窓口」の設置、政府による周知・啓発の取組等、「改正障害者差別解消法」の施行に向けた政府及び地方公共団体における取組を紹介しています。

この中では、関係府省庁の「対応指針」に記載されている不当な差別的取扱いや合理的配慮の提供等に関する事例について、関係すると考えられる障害種別ごとに整理し、「障害特性と主な配慮事項」と併せて、分かりやすく紹介しています。

また、これらの取組を含め、令和5年度に政府が講じた各分野の障害者施策や取組の概況を紹介しているほか、教育、雇用、生活、まちづくり、情報アクセシビリティ・コミュニケーションなどに係る官民の取組や具体的事例をTOPICS(トピックス)として取り上げています。

この白書が、国民の皆様に広く活用されるとともに、障害を理由とする差別の解消と共生社会の実現に向けた取組を推進させる一助となることを願っております。

令和6年7月

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