1.障害者の全体的状況

(1)3区分の概数

 ここでは、身体障害、知的障害、精神障害の3区分について、厚生労働省による「生活のしづらさなどに関する調査」、「社会福祉施設等調査」又は「患者調査」等に基づき推計された基本的な統計数値を掲載する。

 身体障害、知的障害、精神障害の3区分について、各区分における障害者数の概数は、身体障害者(身体障害児を含む。以下同じ。)436万人、知的障害者(知的障害児を含む。以下同じ。)109万4千人、精神障害者614万8千人となっている(図表1)。

 これを人口千人当たりの人数(※)でみると、身体障害者は34人、知的障害者は9人、精神障害者は49人となる。複数の障害を併せ持つ者もいるため、単純な合計にはならないものの、国民のおよそ9.2%が何らかの障害を有していることになる。

 なお、当該身体障害者数及び知的障害者数は、「生活のしづらさなどに関する調査」に基づき推計されたものである一方、精神障害者数は、医療機関を利用した精神疾患のある患者数を精神障害者数としていることから、精神疾患による日常生活や社会生活上の相当な制限を継続的には有しない者も含まれている可能性がある。

(※)身体障害者、知的障害者については、総務省「人口推計」2016年10月1日(確定値)、精神障害者については、総務省「人口推計」2020年10月1日(確定値)を用いて算出。

(2)施設入所・入院の状況

 障害別に状況をみると、身体障害における施設入所者の割合1.7%、精神障害における入院患者の割合4.7%に対して、知的障害者における施設入所者の割合は12.1%となっており、特に知的障害者の施設入所の割合が高い点に特徴がある(図表1)。

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■図表1 障害者数(推計)

(単位:万人)

総数在宅者数施設入所者数
身体障害児・者18歳未満7.26.80.4
男性3.2
女性3.4
不詳0.1
18歳以上419.5412.57.0
男性215.8
女性196.3
不詳0.3
年齢不詳9.39.3
男性2.9
女性5.4
不詳1.0
総計436.0428.77.3
男性222.0
女性205.2
不詳1.5
知的障害児・者18歳未満22.521.41.1
男性14.0
女性7.3
不詳0.1
18歳以上85.172.912.2
男性44.1
女性28.8
不詳0.1
年齢不詳1.81.8
男性0.6
女性0.6
不詳0.5
総計109.496.213.2
男性58.7
女性36.8
不詳0.8
総数外来患者入院患者
精神障害者20歳未満59.959.50.4
男性38.338.10.2
女性21.721.50.2
20歳以上554.6526.328.4
男性225.9213.012.9
女性328.6313.215.4
年齢不詳0.30.30.0
男性0.10.10.0
女性0.20.20.0
総計614.8586.128.8
男性264.3251.213.1
女性350.5334.815.7

注1:精神障害者の数は、ICD-10の「V精神及び行動の障害」から知的障害(精神遅滞)を除いた数に、てんかんとアルツハイマー病の数を加えた患者数に対応している。

注2:身体障害児・者及び知的障害児・者の施設入所者数には、高齢者関係施設入所者は含まれていない。

注3:四捨五入で人数を出しているため、合計が一致しない場合がある。

資料:
「身体障害者」

在宅者:厚生労働省「生活のしづらさなどに関する調査」(2016年)

施設入所者:厚生労働省「社会福祉施設等調査」(2018年)等より厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部で作成

「知的障害者」

在宅者:厚生労働省「生活のしづらさなどに関する調査」(2016年)

施設入所者:厚生労働省「社会福祉施設等調査」(2018年)等より厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部で作成

「精神障害者」

外来患者:厚生労働省「患者調査」(2020年)より厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部で作成

入院患者:厚生労働省「患者調査」(2020年)より厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部で作成

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調査の概要
○「生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」(厚生労働省)
 在宅の障害児・者等(これまでの法制度では支援の対象とならない方を含む。)の生活実態とニーズを把握することを目的とした調査。全国約2,400の国勢調査の調査地区内に居住する在宅の障害児・者等を対象。これまでの「身体障害児・者実態調査」及び「知的障害児(者)基礎調査」(下記)を拡大・統合して2016年12月に実施。
◯身体障害児・者実態調査(厚生労働省)
 在宅の身体障害児・者を対象とした調査であり、5年ごとに実施していた。全国の国勢調査区から無作為抽出した調査地区内に居住する身体障害児・者及びその属する世帯を対象に調査していたもの。
◯知的障害児(者)基礎調査(厚生労働省)
 在宅の知的障害児・者を対象とした調査であり、5年ごとに実施していた。全国の国勢調査区から無作為抽出した調査地区内に居住する知的障害児・者のいる世帯を対象に調査していたもの。
◯社会福祉施設等調査(厚生労働省)
 全国の社会福祉施設等の数、在所者、従事者の状況などを把握し、社会福祉行政推進のための基礎資料を得ることを目的として、毎年10月1日現在の状況について調査を実施。保育所及び有料老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅以外)は層化無作為抽出した施設、それ以外の施設・事業所は全てを対象に調査。
◯患者調査(厚生労働省)
 病院及び診療所を利用する患者について、その属性、入院・来院時の状況及び傷病名等の実態を明らかにし、併せて地域別患者数を推計することにより、医療行政の基礎資料を得ることを目的とした調査であり、3年ごとに実施。全国の医療施設から層化無作為に抽出し、調査日にその医療施設で受診した全ての患者を対象に調査。