6.教育・福祉における取組

(1)学校教育における取組-交流及び共同学習の推進

 障害のある幼児児童生徒と、障害のない幼児児童生徒や地域の人々が活動を共にすることは、全ての幼児児童生徒の社会性や豊かな人間性を育む上で意義があるだけでなく、地域の人々が障害のある子供に対する正しい理解と認識を深める上でも重要な機会となっている。

 このため、幼稚園、小学校・中学校・高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等において、交流及び共同学習の機会を設ける旨が規定されているとともに、教育委員会が主体となり、学校において、各教科やスポーツ、文化・芸術活動等を通じた交流及び共同学習の機会を設けることにより、障害者理解の一層の推進を図る取組等を行っている。

 また、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」(2017年2月20日ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議決定)に基づき、「心のバリアフリー学習推進会議」を開催し、2018年2月に「学校における交流及び共同学習の推進について~『心のバリアフリー』の実現に向けて~」を取りまとめた。この提言を踏まえ、2019年3月に「交流及び共同学習ガイド」を改訂したほか、2020年11月公開の「交流及び共同学習オンラインフォーラム」において実践事例を周知するなど、心のバリアフリーの促進を図るとともに、教育委員会や学校等に対して積極的な取組を促している。

「交流及び共同学習ガイド」(2019年3月改訂)

※文部科学省HPにおいて全文掲載http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/010.htm


・第1章 交流及び共同学習の意義・目的

小・中学校等及び特別支援学校等が行う、障害のある子供と障害のない子供、あるいは地域の障害のある人とが触れ合い、共に活動する交流及び共同学習は、障害のある子供にとっても、障害のない子供にとっても、経験を深め、社会性を養い、豊かな人間性を育むとともに、お互いを尊重し合う大切さを学ぶ機会となるなど、大きな意義を有する。


・第2章 交流及び共同学習の展開

1. 関係者の共通理解
学校、子供たち、保護者等の関係者が、交流及び共同学習の意義やねらい等について、十分に理解する。
2. 体制の構築
校長のリーダーシップの下、学校全体で組織的に取り組む体制を整える。
3. 指導計画の作成
交流及び共同学習の実施、事前の準備、実施後の振り返りについて、年間指導計画に位置付け、計画的•継続的に取り組む。
4. 活動の実施
・事前に、活動のねらいや内容等について子供たちの理解を深める。
・障害について形式的に理解させる程度にとどまるものにならないよう、子供たちが主体的に取り組む活動にする。
・事後学習で振り返りを行うとともに、その後の日常の学校生活において、障害者理解に係る丁寧な指導を継続する。
5. 評価
・活動後には、活動のねらいの達成状況、子供たちの意識や行動の変容を評価し、今後の取組に生かす。
・活動直後の状況だけではなく、その後の日常の生活における子供たちの変容をとらえる。


・第3章 取組事例(※7つの事例を紹介)

<音楽の授業や給食を通じた居住地校での交流及び共同学習>※福井県

<障害者スポーツ等を通じた交流及び共同学習>※青森県

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第3章第1節 6.教育・福祉における取組/文部科学省

TOPICS

交流及び共同学習オンラインフォーラム

 幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等が行う、交流及び共同学習は、障害のある子供にとっても、障害のない子供にとっても、経験を深め、社会性を養い、豊かな人間性を育むとともに、お互いを尊重し合う大切さを学ぶ機会となるなど、大きな意義を有するものである。

文部科学省では、2018年2月に取りまとめた「学校における交流及び共同学習の推進について~『心のバリアフリー』の実現に向けて~」を踏まえ、2020年11月に文部科学省HPにて「交流及び共同学習オンラインフォーラム」を公開した。

(文部科学省HP 交流及び共同学習オンラインフォーラム: https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/1413898_00001.htm)

 本フォーラムでは、全国各地で実施されている交流及び共同学習の事例の中から、ICTの活用や外部機関との連携、副次的な籍の活用等、各自治体における取組みの参考となる優れた実践事例について、各20分程度の動画としてまとめ、公開している。


交流及び共同学習オンラインフォーラム

文部科学省

「交流及び共同学習」の充実のため、各自治体における取組の参考となる優れた実践事例を動画で各20分程度紹介。

【動画で紹介している取組実践例】
静岡県 外部機関と連携した交流及び共同学習
福井県 ICTを活用した全県的な交流及び共同学習
仙台市 障害当事者との組織的な交流及び共同学習
南箕輪村(長野県) 副次的な籍を活用した交流及び共同学習
国土交通省 バリアフリー教室の取組

静岡県:ダイアログインザダークに関する取組
国土交通省:パリアフリー教室について
【交流及び共同学習とは】
障害のある子供と障害のない子供が、共に経験を深め、社会性を養い、豊かな人間性を育むとともに、
お互いを尊重し合う大切さを学ぶ教育活動。
障害者基本法第16条においても積極的に進めることとされている。
※小学校学習指導要領
「他の小学校や、幼稚圍、認定こども園、保育所、中学校、高等学校、特別支援学校などとの間の
連携や交流を図るとともに、障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習の機会を設け、
共に尊重し合いながら協働して生活していく態度を育むようにすること。

案内ページ(文部科学省)

再生リスト(YouTube)

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(2)地域住民への広報・啓発

 障害のある幼児児童生徒が、自立し社会参加するためには、広く社会一般の人々が、幼児児童生徒と教育に対する正しい理解と認識を深めることが不可欠である。

 社会教育施設等における学級・講座等においては、障害のある人に対する理解を深めることを重要な学習課題の一つと位置付け、青少年や成人一般、高齢者の学習活動が展開されている。

 また、精神保健福祉センターや保健所では、精神障害のある人に対する正しい理解を促すため、住民に対する精神保健福祉に関する知識の普及・啓発を行っている。