障害者白書は、平成5年に施行された「障害者基本法」に基づき、毎年国会に提出している年次報告です。今回は平成6年から数え、28回目となります。
我が国は、平成26年に「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」を批准し、その理念を踏まえ、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」等の法的枠組みの整備を行うとともに、平成30年3月に「障害者基本計画(第4次)」を策定し、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の充実に取り組んでいます。
この基本計画では、社会のあらゆる場面におけるバリア(社会的障壁)の除去や、障害者差別の解消に向けた取組の着実な推進等を基本的方向として掲げているところです。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、政府として、この基本計画に沿って、心のバリアフリーの普及やユニバーサルデザインのまちづくりなど、社会的障壁の除去に向けた取組を精力的に進めてきており、各分野での施策が着実に講じられてきております。令和2年度には、政府は、事業者に対し合理的配慮の提供を義務化すること等を内容とする「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」の改正法案を国会に提出し、同法案は本年5月に成立したところです。
障害者施策を担当する大臣として、地方公共団体や障害者団体など様々な関係団体と連携し、引き続き、障害の有無にかかわらず相互に人格と個性を尊重し支え合いながら共生する社会の実現に向けて、政府全体の施策を推進してまいります。
一方で、昨年度は、新型コロナウイルス感染症が全世界に拡大し、日本でも、感染者の増加により国民生活に様々な影響を及ぼしております。そうした中で、障害のある方への対応も含め、新型コロナウイルス感染症への各種対策が講じられてきております。
本白書では、令和2年度に講じたこれらの施策を中心に取り上げるとともに、新たな動きがあった分野や皆様の関心が高いと思われる取組についてTOPICS(トピックス)として紹介しています。この白書が広く活用されることにより、国民の皆様の障害者施策に関する理解と関心が深まり、共生社会の実現の一助となることを願っております。
令和3年7月
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