芳一ほういちながあいだそれをかたるに躊躇ちゅうちょしていた。しかし、つい自分じぶん行為こうい実際じっさい深切しんせつ住職じゅうしょくおどかしかつおこらしたことって、自分じぶん緘黙かんもくやぶろうと決心けっしんし、最初さいしょさむらいとき以来いらいあったことをいっさい物語ものがたった。

 すると住職じゅうしょくった……

可哀かあいそうなおとこだ。芳一ほういちまえいま大変たいへんあやういぞ! もっとまえまえがこのことをすっかりわたしはなさなかったのはいかにも不幸ふこうことであった! まえおんがく妙技みょうぎまったく不思議ふしぎ難儀なんぎまえんだのだ。まえけっしてひといえおとずれているのではなくて、墓地ぼちなか平家へいけはかあいだで、よるすごしていたのだということに、いまはもう心付こころづかなくてはいけない――

今夜こんや下男げなんたちはおまえあめなかすわっているのをたが、それは安徳あんとく天皇てんのう記念きねんはかまえであった。まえ想像そうぞうしていた事はみな幻影まぼろしだ――んだひとおとずれてことほかは。で、一度いちどんだひとこといたうえは、をそのるがままにまかしたというものだ。もしこれまであったことうえに、またも、そのこといたなら、まえはそのひとたちきにされることだろう。しかし、いずれにしても早晩そうばんまえころされる……ところで、今夜こんやわたしはおまえ一緒いっしょにいるわけにいかぬ。わたしはまたひと法会ほうえをするようにばれている。が、まえにおまえ身体からだまもるために、その身体からだ経文きょうもんいてかなければなるまい』