七百年ななひゃくねんじょうむかしことしたせき海峡かいきょう壇ノ浦だんのうらで、平家へいけすなわちへいぞくと、源氏げんじすなわち源族げんぞくとのあいだの、ながあらそいの最後さいごいくさ闘がたたかわれた。この壇ノ浦だんのうら平家へいけは、その一族いちぞく婦人ふじんともならびにその幼帝ようてい――今日こんにち安徳あんとく天皇てんのうとして記憶きおくされている――とともに、まったく滅亡めつぼうした。そうしてそのうみ浜辺はまべとはななひゃくねんかんその怨霊おんりょうたたられていた……ほか個処かしょわたしはそこに平家へいけがにという不思議ふしぎかにこと読者どくしゃ諸君しょくんかたったことがあるが、それはその背中せなか人間にんげんかおになっており、平家へいけ武者むしゃたましいであるとわれているのである。しかしその海岸かいがん一帯いったいには、たくさん不思議ふしぎこと見聞みききされる。闇夜やみよにはいくせんとなき幽霊ゆうれいが、みずうちぎわにふわふわさすらうか、もしくはなみueにちらちらぶ――すなわち漁夫ぎょふんで鬼火おにびすなわちしょうする青白あおじろひかりである。そしてかぜときにはおおきなさけこえが、いくさ叫喚きょうかんのように、うみからきこえてる。