全体会 II

北海道高等聾学校

太田 弘美

はじめに,当番校の関東地区聾教育研究会の皆様,準備から運営など大変お疲れ様でした。お陰様で,日本語手話通訳,英語手話通訳,要約筆記英語と日本語,同時通訳レシーバー英語と日本語などの情報保障が完備され,国際的な,すばらしい研究会に参加できましたことを,心より感謝申し上げます。全体会Uの様子について自分なりの感想など交えて報告いたします。
 グレッグ・リー教授の基調講演では,新生児聴覚スクーリニングによって発見された子供に対する人工内耳移植の平均年齢は現在では12ヶ月以下になっており,幼児期の人工内耳の装着により口話の能力が著しく高められるという見通しと,しかし聴覚口話のみでは至らない子供もいるので,どのような教育方法が望ましいのか,人工内耳の移植が必要かそうでないのか,見通しを明らかにする必要があり,最も保護者のケアが大切だというお話しを聞きました。
 全日本ろうあ連盟大杉先生の「将来の聴覚障害教育について」では,聴覚障害者のコミュニティは,手話言語習得促進と聴覚障害者アイデンティティの向上のための機能を持ち,既存教育システムにどう組み込むかが重要課題であるという提言と,聴覚障害者は,大人との手話言語での相互交流でコミュニケーションを図り,生きるために必要な知識を習得するためにもコミュニティに参加していくことの大切さを話していただきました。
 日本聾話学校の西海先生からは「これからの聾教育―日本聾話学校の教育から見えるもの―」と題し,学校で実践されている聴覚活用についてのお話があり,人工内耳の普及とともに,補聴器と人工内耳の最適なフィッティングなど,オーディオロジーの充実が図られ,インテグレーションが行われていることに興味深く拝見しました。
 私は,聾教育の長い歴史の中で,聾学校で学ぶ生徒たちは明るく活発で,友達同士が兄弟のように育ち,何でも話せる集団をつくることができる反面,インテグレ−トをした生徒の中には,周りとなじめず孤立化してしまい,また,聾学校へ戻ってくるという現象もあったことを覚えています。ことばを覚えていく段階で,手話も重要で,聴覚口話の手がかりとしても大切だと感じています。また,集団の中でことばを覚え,生活経験を重ねて学習していく中で,のびのびと育つ聾学校のもつ役割は,重要だと思います。今後,ますます科学技術が発達し,人工内耳が推奨され,聴覚活用が進んでいくと思いますが,聴覚障害者が,もっと苦労しないで,言語を獲得できたら幸せだと考えています。ひとり一人の子どもに対して何が必要か,選択できるような環境を作っていくことが大切だと感じました。もう一つは,社会で生活するために,手話言語を習得する機会を,学校生活の中で充実させてことも大切だと感じました。