家庭教育を考える部会

全国聾学校PTA連合会 会長 丸谷 俊博

秋の抜けるような晴天に恵まれた10月10日(火)に「家庭教育を考える部会」が全国54校から174名の参加者を得て椿山荘にて成功裡に開催されました。

大沼実行委員長,秋谷組織委員会副会長及び私の挨拶に続き,午前中が全体会として警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課の河原理事官による「メール,チャット等に潜む危険性と対策」,日本大学薬学部伊藤教授(筑波大学附属聾学校PTA会長)の「青少年と乱用薬物」が講演され,普段,保護者や教員があまり聴くことのできない新鮮で深刻な内容が語られ大変好評を博しました。

河原様の講演では,インターネットによる有害サイトの氾濫と犯罪の増加,特に携帯電話も含めた「出会い系サイト」に絡む問題の相談が12万件超と急増し,中高校生で出会い系で知り合った人に会っている割合も増えていること(特に高校女子で45.8%)

等の現状が報告され,子供達を守るためには保護者がこの実態を認識し,子供達とパソコンや携帯の使い方についての明確なルールを定め,学校とも協力して常識とモラル教育を実施してゆく必要性が訴えられました。

伊藤様の講演では,乱用薬物の種類や症状・有害性について鼠での実験映像も交えて説明があり,また小中高生が好奇心等から薬物を使用し,またそのことに対する罪悪感が減少傾向にあること,特に若年者は事件として表面化し難いことから薬物乱用の低年齢化が進行していること等の警鐘が鳴らされました。対策として親も薬物に関する知識を持ち“うちの子に限って”という思いこみを排して子供達が自ら薬物乱用を拒否できる強い意志を持つように育成してゆく必要性が訴えられました。

午後は,「幼小」「中高」「大学・社会人」の子供達の成長段階に合わせた3つの分科会が開催され,その後,それらのまとめを全体会として実施致しました。

「幼小」は,「これからの幼児・児童期の家庭教育支援について」をテーマに大塚ろう学校の高山様が特別支援学校への流れの中で,学校・PTA・地域が連携して支える子育て支援事業(放課後・土曜日)とPTAを中心に立ち上げたNPO法人「NPO大塚クラブ」の役割・活動(乳幼相談・保護者支援・対外活動)を紹介し,その後,高山さん,高井さん(葛飾ろう),篠崎先生(葛飾ろう)をコーディネイターに各校の取り組み等を討議,情報交換を行いました。

「中高」は,「社会的自立に向けた家庭教育の役割について」をテーマに西田さん(宇和聾),山口さん(熊本聾),山野さん(鹿児島聾)がそれぞれ報告を行い,そのドラマチックな家庭教育実践談が感銘・共感を与えました。その後,飯田さん(福岡高等聾),佐伯さん(大分聾)が討議司会を,寺澤先生(元福岡高等聾)が助言を行いました。

「大学・社会人」は,「真の自立に向けて,親はどのように関わっていけばよいのか」をテーマに緒方さん(滋賀聾話)の司会により,白澤先生(筑波技術大学)が情報保証を,岩田様(「ななふく苑」)が23年間の聴覚相談員としての経験と特別養護老人ホーム「ななふく苑」設立の経緯等についてお話しされ,その後,小田さん(富山ろう)が討議司会を行い参加者との質疑を実施致しました。

分科会まとめの会は,「幼小」「中高」「大学・社会人」の各分科会内容報告を田中全聾P連事務局長の司会のもとに実施しました。まとめの会には,山東昭子組織委員会会長も参加され,各分科会の実施内容に耳を傾けて頂きました。その後,山東会長には保護者にとっても心強いご挨拶を頂きました。

今回の成功が今後の「家庭教育を考える部会」として継続開催される契機となることを心より望んでおります。尚,その際も学校教育と家庭教育は両輪であるとは言え,保護者は先生方の先導,指導があってこそ家庭教育をより良く実践できることをご考慮頂き,先生方の積極的な「家庭教育を考える部会」へのご支援,ご教導をお願い致します。

最後に「家庭教育を考える部会」の準備から実施迄の長期にわたり積極的なご支援を賜りました各地区連合会会長以下の全聾P連役員及び各関係校のPTA役員と先生方,APCD事務局の先生方,全聾P連事務局の方々,当日の受付及び運営支援をして頂きました東京都立葛飾ろう学校及び筑波大学附属聾学校の保護者各位に全聾P連会長として心より厚く御礼申し上げさせて頂きます。