10.教育オーディオロジー
医学的知見

茨城県立霞ヶ浦聾学校

月島 聖文

第10分科会では,「補聴機器や情報機器を効果的に活用し,主体的に生きる力の糧にするための教育とは」という主題のもと,15の口頭発表と10のポスター発表が行われました。

本分科会の発表の内容は,乳幼児期の聴覚管理と早期教育に関すること,補聴器の装用ときこえに関すること,人工内耳に関すること,聴覚活用に関すること,言語訓練に関すること,赤外線補聴システムに関すること,医療的な立場からのきこえに関すること,聴覚障害者の情報処理に関すること,地域との連携に関すること,聴覚障害者のコミュニティや保護者に関すること,ITを活用した研究など多岐にわたるものでした。

その特にでも,人工内耳に関する研究発表が多く,人工内耳装用児に対する支援がこれからもっと必要になってくることが感じられました。

アジア太平洋地域聴覚障害問題会議と同時開催ということで,海外からの参加者の発表もたくさん行われました。

韓国からは,3つの研究発表がありました。

口頭発表ではヨン・ヒ・チェさんとミ・スン・ユンさんの「幼児の新生児聴覚スクリーニングと早期医療行為との関連性」,ミ・スン・ユンさんの「言語知覚テスト実行における語彙効果」の発表がありました。ポスター発表では,ミョン・ジン・ホさんとソン・ギュ・チェさんの「人工内耳を装用している聴覚障害児の母音色の認識研究」の発表がありました。

台湾からは,2つの研究発表がありました。

口頭発表では,チー=ハォ・ツァイさんとシャオ=チュアン・チェンさんの「子供たちのためにコンピュータ化された聴覚パターン認識テストの構造」の発表がありました。ポスター発表では,C・J・リュウさんとH・C・チェンさんとS・C・チャンさんの「年配の聴覚障害者のための聴覚リハビリテーションプログラム,その臨床意義分析」の発表がありました。

オーストラリアからは,3つの研究発表がありました。口頭発表では,フィリップ・ニューオールさんとジャネット・オリバーさんの「小児科の補聴器取り付け」,ロッド・ビーティさんとジル・ダンカンさんの「聴覚教育の大学教員資格者たちのための聴覚―言語訓練の新しいトレーニング・プログラムの開発:目的,利点,挑戦,実現,そして時間が許せば,さらにアルファベットについて」の発表がありました。ポスター発表では,フィリップ・ニューオールさんとゲイリー・ウォーカーさんの「聴覚境界値及び耳鳴症:ブルーマウンテン聴覚研究」の発表がありました。

ドイツからは2つの研究発表がありました。アネット・レオンハートさんから口頭発表で,「人工内児(CI)を埋め込んだ子供たちを持つ聴覚障害の親たち」の発表,ポスター発表で「ドイツにおける聴覚障害者組織」の発表がありました。

それぞれの国によって聴覚障害児・者を取り巻く環境が異なっていることは事実としてあると思います。しかし,どの国でも聴覚障害児・者に対する支援に積極的に取り組んでいる人々がいて,その気持ちは日本でも海外でも同じであることが伝わってきました。

分科会の最後には,座長である立入先生に総括をしていただきました。

立入先生からは,「教育オーディオロジーという観点から,子どもたちが生まれてから育っていくその間を,私たち教育に関わるものが,どう子どもたちに聴覚的にアプローチしていくかという幅広い研究を聞くことができて良かった。耳鼻科という医学的な領域から,より子どもの教育,より子どもの発達,より子どもの育ちに寄り添う形で,どう,聴覚障害児教育全体にどのように寄与できるかということは,これからも一生懸命に研究していくべき内容であると考えられる。今日一日で大変大きな成果を得られたのではないか。」と,お話しがありました。

本分科会ではたくさんの発表があり,質疑応答の時間も短いものでしたが,参加者から積極的に質問が出てくることも多く,とても充実した分科会になりました。また,海外からの発表者や参加者も多く,国際色豊かな雰

囲気の中で分科会がすすめられました。