6.重複障害教育

徳島県立聾学校

畠内 加代子

本分科会では,「より豊かに生きるための力をつけるための支援とは」をテーマに3つの発表とそれに基づく質疑応答があり,筑波技術大学の佐藤正幸先生よりご指導ご助言を頂きました。 

最初に国立特殊教育総合研究所の中澤惠江先生から『国立特殊教育総合研究所における盲ろう教育の研究および支援の展開』についての発表がありました。特有で広範な支援を必要とし,専門性を有する盲ろう教育。国立特殊教育総合研究所が,ナショナルセンターとしてこれまで展開してきた支援と研究について詳しく話を聴くことができました。また,進行性の盲ろうであるアッシャー症候群についての質疑に対しても,関わり方を教えていただきました。盲ろうの子どもに対して教師や保護者がどのような組織とどう関わればよいのかを知る機会となりました。 

次に大阪府立生野聾学校の一宮あゆみ先生から『自尊感情を育てる取り組み』についての発表がありました。成功体験を増やし自分自身を肯定的に見ることができるように援助する中で,自他を認め肯定的な表現ができるようになりコミュニケション意欲が高まった幼稚部の子どもの事例報告でした。自尊感情を育てるために,子どもにあった日課作りや刺激の制限等により周りの情報をわかりやすく整理し伝えたこと,ダイナミックな活動を取り入れたこと,集団の保障を大切にしたことなど日々の具体的な取り組みの様子が紹介されました。

午後からは,東京都立立川ろう学校の神立さゆり先生から『「職業」での指導実践を通した生徒の変容』についての発表がありました。ここでは「就労自立グループ」で新たに設定された「職業」の,実践内容の報告がなされました。「職業」の中で,「自己肯定感をもつ・自己理解を深める・働くことの意義の理解・職業生活に必要な態度や知識を身につけること」等を,段階的,継続的に指導されていました。生徒の変容の事例を織り交ぜた実践内容を,聴かせて頂きました。指導にあたって「つけてほしい力」を明確にし,「関わる教員で共通理解を持ちながら」取り組まれていましたが,その時にどのような配慮がなされていたか具体例がたくさん報告されました。

3つの発表の後に参加者から討論希望のあった,「適正就学(聾学校か養護学校か)」「進路」「自立活動の目的」「聾重複児への関わり」等についての意見交換も行われました。就学については,子どもの聞こえの状態や保護者の意見が関係するのではないか,また,その子にあった配慮をしてくれる,そのための努力をしてくれるところが良いのでは等の意見がありました。進路に関しては,通勤をはじめとして保護者の協力が不可欠であり保護者を巻き込むことが大切であることを再認識しました。今回は,3つのすばらしい発表を詳しく聴くことができ,また,参加者の多くの先生から所属校の様子や意見が活発に交換されるなど,とても充実した時間となりました。