5.教科指導法

分散会U
指導方法の工夫

岩手県立一関聾学校

安部 千喜子

「聴覚障害教育の専門性の継承・革新・共有」という大きなテーマのもと,第5分科会教科指導法は「学習者が充実感・成就感を持って各教科を学ぶための授業とは」を主題として二つの分散会で研究発表が行われました。分散会Uだけでも15本の発表があり,指導者あるいは学校の数だけ指導法があること,そして指導法は教育実践上いかに重要であるかということがうかがえるのではないでしょうか。一つ一つを深めることはできませんでしたが,各先生方,各校の様々な教育実践を紹介していただき,貴重な情報提供の場となったことは言うまでもありません。

小学部に所属している自分の立場から特にも参考になったのは,日本聾話学校「豊かに感じ伝え合う」,札幌聾学校「小学部低学年における書きことばの指導」,堺聾学校「『教科学習に先立つ指導』から『教科学習へ』」,岡山聾学校「自らの思いや考えを互いに伝え合う授業の創造」,大塚ろう学校「言語・認知発達に課題のある児童に合わせた指導の工夫」です。この5つの実践は指導・支援の在り方はそれぞれですが,日常生活での様々な経験を通して生活言語が育っていくこと,また“豊かに心が動くような活動”“豊かで人間的な心の交流”を大切にしながら子供の心に寄り添って言葉の世界を広げていること,人と人との関係の中で言葉が育ち生活言語の充実が教科の充実につながることなど,根底にあるものそして目指すものは共通しており,共感させられることが多々ありました。さらに,大塚ろう学校の実践は,特別支援という側面から今後聾学校も直面するであろう課題に既に取り組んでおり,聴覚障害に限らず,多方面から新たな障害について学んでいかなければならないと思いました。

その他,各校,各先生方の具体的な教材の活用例・場面設定を紹介しながら実際に効果的な指導・支援がなされている研究発表でした。対象となる児童生徒の実態把握のもと各先生方の日々の実践が生かされているものでした。それだけに一つ一つを深められなかったのは残念なところもあります。 

まとめとして四日市先生の助言の中にありましたが,「今日学んだことをどう生かしていくのか。児童生徒自身が学んだことを主体的に使うことで,その学んだことは力になり伸びていく。自ら使って習得させていく。そのためにも環境作りは大切である。」ということを,日々の実践の中で生かしていきたいものです。

最後に,主題設定の理由としてあげられている“基礎・基本の確実な定着”“自ら考え問題を解決するための指導・支援のあり方”は,現在に至るまで児童生徒の社会自立の上からも重要な課題であり,今後も発展的に引き継がれていくべき課題であると思いました。