高等部研究協議会
(保健体育)

宮崎県立都城ろう学校

武野 きく子

はじめに,授業「医薬品と健康」についての授業研究と協議を行い,その後保健体育全般にわたる取り扱いや指導上の問題点についての話し合いを行いました。
授業においては,大変丁寧な分かり易い展開で生徒の積極的な発言もあり,日頃から行き届いた細やかな指導がなされている様子がよく分かりました。日常生活と密接な関係があり安全な生活を送る上で大事な内容なので,特に,日常使用する薬についての正しい使用ができているか確認して社会に送り出したいと改めて感じました。サプリメントと薬を混同した発言があり,指導者が指摘されましたが,サプリメントの過剰な使用も注意が必要なことに触れた方が良いと感じました。語彙理解も豊かで,意図した内容の理解ができる生徒集団でレベルの高い授業内容でした。時間が限られているため優先順位を設けて授業をされているそうです。高等部で扱えない内容については専攻科で扱うという,筑波附属聾学校ならではの組織的な指導がなされているようでした。
実技指導においては,運動特有のリズムや動きを習得させるための工夫や補助具について,分散会T(教材教具)の発表ともからませて協議しました。介護体験の学生向けに作成した聾者理解のための学校紹介ビデオは好評でだったようです。聾者向けの視聴覚教材は少ないので,字幕をいれると大きな労力を要し,その作成で満足してしまい検証にまで至っていないという謙虚な反省も出されました。タイミング良く指導するための方法を模索する中で,水泳の平泳ぎに関する伸びとけり・かきのタイミングの指導法や,ボールゲームにおけるTTとの連携をもたせた指導について,旗やカード提示の報告がありました。技術を習得すれば自分のミスに気付くのは容易ですが,未習得の生徒にルール違反を理解させることは困難です。実技を通しての聴者との交流は共通のベースがあれば容易であり,大きな意味でのボディコミニュケーションでもあります。聴者との交流を容易にし,コミニュケーションを広げる要素にもなります。                   体育の役割の一つに,体力の保持増進と集団活動による社会性の育成があるが,「社会的に健康である」ことを理解できる生徒がどのくらいいるでしょうか。客観的に自分を見ることのできる生徒が少なくなってきているようです。客観的視点を学ばせるのにロールプレイは有効だとの実践報告もありました。社会の一員としての機能を果たす人間教育は,日常生活のあらゆる場面を通して展開されていますが,少数校では,集団保障のために学部学年を超えた縦割り授業編成等の工夫をされているようです。
教員免許法の改正により,聾免許保有者しか聾教育の領域に入れないとすると,数少ない聾学校はますます閉塞的になるなではないかという心配もあります。 聴者を指導している教職員が,聾教育の研究会に参加する機会は稀です。今後は近隣の特別支援学校や聴者の学校となんらかの連携を図りながら多彩な集団構成を工夫し,聾者への理解と聴者との融合を目指す教育環境の確保を進めていくべきではないでしょうか。