高等部研究協議会
(地歴公民)

川崎市立聾学校

半田 克利

1.高等部(地歴・公民)公開授業

 @公開授業「世界史A」 単元「南北戦争とアメリカ合衆国の膨張」

奴隷制度と背景にある産業(綿花)の学習で,綿繰りを生徒に擬似体験させる場面が印象的だった。歴史のターニングポイントをいきなり示すのではなく,当時を「おかしい」と思わせることがねらい,との話。生徒が主体的に考えるという点で参考になった。

A公開授業「地理A」 単元「インドの国土構造と変化する都市・農村」

国土構造の説明では模造紙を使用。植民地の学習では,その意味などをこれまでに学習してきたが,クラスによっては少し理解が不足しているとのこと。習熟度別クラスの編成など実態にふれることができ,興味深かった。

B公開授業「政治・経済」 単元「日本の選挙制度」

開票作業に時間がかかり,考えさせる時間が不足との話があった。が,難しい選挙制度の基本をおさえるための工夫の結果であり,生徒が理解しやすい方法だと感じた。

※授業見学を終えて。

聾学校の授業を見学して常に驚かされるのは,指導者が提示する視覚情報の多彩さである。それらを駆使しながら生徒の関心を引き出すなど,授業に引きつける授業者の磁気を強く感じた。これまで,時に一方通行になりがちだった過去の自分の授業を想起しながら,躍動感ある授業に接するのはある意味とても楽しかった。

2.高等部(地歴・公民)研究協議会(@〜Cは授業者,参加者の発言より)

@効果的な作業・体験・調査研究

・(日本史Bの資料から)生徒に弓を張る体験をさせた。その後生徒は(他の資料等を)疑問を持って考えながら見るようになった。

・法教育の授業(状況を設定し,各生徒が役割を担い,コミュニティーの中でルール作りをする)を行った。法の役割を知るとともに,(法への)興味・関心が広がった。

A授業の組み立て方

・身近な問題を取り上げ,生徒に応用力

・判断力を身につけさせせたい。(地理では)基礎知識(用語)を理解させた上で事例を取り上げている。

B学力を高める指導計画・意欲を高める教材づくり

・HP,新聞,地域の特性に関係の深い題材をとりあげている。

・宿題の内容は,体験的なものが入っていればより理解が深まる。

C中学部や大学・専攻科・社会との連携,その他

・テーマ(水俣の問題)を扱うとき,教科の枠で切っていたらできない。教師が問題と向き合うことで生徒の理解が深まっていく。

・主観と客観のかねあいをどう考えるか。客観的にみたときに,(考え方の)基準となるものを生徒に示すのは大切なことである。

・健全な批判精神をどのように育てていくのか,考える必要がある。

※研究協議会に参加して。

各地域から様々な経験をもつ参加者の熱い思いが伝わってきた。時間の関係で,私の所属する学校の実態に大きく関わる具体的な意見を頂けなかったのが残念であったが,「めざす人間像」「社会人としてあるべき姿」といった大きな視点に立った意見交換の場に立ち会えたのは収穫であった。一方,学習指導で他学部との連携が不十分との意見もあった。一人の人間を継続して育てていく立場として同感であり,大きな課題である。