高等部研究協議会
(英語)

福岡県立久留米聾学校

古川 恭子

ごく少人数での協議会となったが,現任校での悩みや実践など活発な情報交換を行うことができた。はじめに筑波大学附属聾学校高等部英語科の授業に関する質疑応答が行われた。習熟度別のクラス編成については,年間2回のグループ見直しが行われているとのことで,実態に合わせて細やかな指導体制が組まれていることに感銘を受けた。指導内容についても生徒の実態や進路に応じて様々な工夫が見られた。習熟度の高いグループでは市販の参考書を利用して,授業よりも先に自主学習で構文を覚えるよう指導されたり,和訳先渡しの授業を行ったりするなど,生徒の進路実現に向け先生方が熱心に取り組まれている様子がうかがえた。
 英語学習において欠かせない語い指導については,参加校の取り組みが具体的に紹介された。例えば,全校生徒を対象とした単語テストを行い成績優秀者を掲示して意欲を喚起する,あるいはインターネットを利用したスペル練習を取り入れ単調になりがちな語い指導に変化をもたせるなど,様々な工夫が見られた。
 発音については,ほとんどの学校が片仮名による表記で指導しているようであったが,
生徒の実態に合わせて,できるだけ英語の発音に近い表記をするか,あるいは日常目にする表記にするかを選択している学校もあった(例:coffee をカフィーと表記するかコーヒーと表記するか)。また,今回協議会に参加した学校ではないが,平仮名と片仮名の両方を使って発音を表記している学校もあり,例えば,RとLの発音を平仮名と片仮名とで区別して表記すれば,それがスペルミスを防ぐことにもつながるとのことだった。今後ぜひその取り組みについて詳細を伺う機会があればと願っている。
 ALTとの授業に関しては,回数に差はあるものの参加校のほとんどが実施していたが,興味深いのはその活動内容であった。数年前に私が参加したある研究大会では,決められた英文を生徒が事前に口頭で練習し,ALTともそのフォームを使って口頭でやりとりをしているという報告があった。決められたフォームであれば口頭でやりとりができるのかもしれないが,現実的な問題として聴覚に障害のある生徒たちが英語を口形だけでどれだけ読み取れるものなのか,口頭でのやりとりの意義に疑問を感じずにはいられなかった。しかし今回の協議会では,スピーチのみの活動を行っている学校はなく,筆記によるやりとりや,目でみて分かる文法ゲームなどを取り入れるなど,ライティングとリーディングのスキルアップを目指した指導についての報告があり,大変参考になった。
 今回初めて全日本聾教育研究大会に参加させていただいたが,生徒により高い英語力を身に付けさせるために試行錯誤を繰り返しながら日々努力を重ねておられる先生方が全国にいらっしゃることを肌で感じることができ,自分の実践を見つめ直すよい機会となった。