高等部研究協議会
(数学・理科)

愛知県立豊橋聾学校

山口 惠理子

本会には,指定授業者2名を含む計12名が参加し,授業についての解説の後,質疑応答と情報交換が行われました。どちらの授業も「考える活動」を重視しており,考えさせるための視覚的教材・教具の活用法や,生徒の習熟度に差がある場合の支援の方法に高い関心が寄せられました。
1 普通科2年数学U「図形と方程式」
この授業では,直線に対して対称な点の座標の求め方を理解させるために,まずワークシートでの作図や文章表現を通して線対称の条件を考えさせ,理解を確実にさせた上で例題に取り組ませていました。立式の方法を考えることに重点を置き,生徒に自分なりの考えを持たせるように留意されていました。注目された点は,@キーワードの提示 A小型ホワイトボードの活用 B重要用語や公式カードの提示でした。これらの視覚的教材・教具の活用により,生徒が自分の考えを整理し,お互いに意見交換できるように工夫している点が素晴らしいという感想が多く挙げられ,私も授業に取り入れさせて頂きたいと思いました。また,解答につまずいている生徒の集中力を持続させる工夫については,机間巡視で個別にヒントを与えたり質問用紙や補習で対応しているとの回答がありました。対象生徒らは理系の一般大学や筑波技術大学へ進学するとのことで,生徒の習熟度の高さに感服致しました。
2 普通科3年選択物理U「運動量と力積」
この授業では「空気の衝撃」という身近な現象を「運動量変化=力積」の公式で説明できるようにすることがねらいでした。実験結果の予想→確認→公式による解明という展開の中で,実験の結果がなぜ成り立つのかを考えることに重点が置かれていました。衝立を乗せた台車が風を受けてどちらの方向に進むのか,電子天秤の上のヘリコプターが飛ぶと質量はどう変化するのか,期待感を持って現象を注視する生徒らの真剣な姿がとても印象的でした。注目された点は,@自作の実験装置 Aプレゼン(Wordの全画面表示とPowerPoint) Bワークシートの活用でした。理論通りの実験結果を出すために,実験器具の調整にはかなりの時間を要したとのことで,指導者の工夫や熱意が生徒に必ず伝わったであろうと,賞賛の声が寄せられました。一方では,授業によって入試問題が解けるようになることも大切で,実験だけでは問題が解けるようにはならないというご指摘がありました。問題文の読解力や立式に必要な思考力を向上するなど,大学進学を目指した学力向上も重視しなければと再認識致しました。大学全入時代における聾学校の数学・理科教育の指針について示唆を頂き,入試に関する情報交換・情報収集が急務であると感じました。
 その他,習熟度別グループ編成や評価基準等が話題に上がりました。今後の教科指導の参考にさせて頂きたいと思います。