高等部研究協議会
(国語)

石川県立ろう学校

木戸 裕子

国語の研究協議会では「指定授業・公開授業」に関する質疑応答が中心に話し合われ,筑波大学附属聾学校高等部の国語科の指導の様子・考え方について知ることができました。その内容は以下の通りです。
 高等部普通科では,生徒が習熟度別に8〜9人のグループ(イロハ)に分かれて学習している。定期テストと授業中の様子から,メンバーは1学期末と3学期末に見直しがある。普通科の生徒の3分の2は大学進学を考えているので,授業ではどちらかと言えば評論文を扱うことが多くなる。古典については,古文を扱う割合が高い。漢文は難しいイメージがあるが,四字熟語,故事成語などは良い教材である。また,三国志はゲームやカードなどがあって,生徒は大変興味を示す。
 この日の国語の公開授業の題材は『四面楚歌』であったが,日本語と手話で進められていた。本時の授業のねらいは項羽の気持ちをつかむことであり,声の大きさにはこだわらない。他の時間(例えば音読の場面)では大きい声を出すなど,生徒は使い分けている。 国語の授業の進め方については次のような説明がありました。全教材に対して,その教材に入る前に課題プリントを出している。そして,どこの部分の理解が弱いのかを把握し,授業の中で重点的にとりあげるようにしている。また,本文を読解するだけでは深まらない教材に対しては,関連するビデオや資料など与えて興味を喚起し深めている。多くの文章に触れることも大切だと考えている。さらに読んだ文章を自分の生活と結びつけて考える力を育てることも重要である。例えば,記録文教材『野麦峠』を扱う場合も読解だけでなく,背景には明治という時代の政策があったこと,今後社会に出て行くろう者(自分)の問題と繋がる内容であること,等の視点も大切に考えている。
 評価は教材ごとに考えた観点に沿って行い,次の授業に生かすようにしている。シラバスで評価の観点を明確にし,生徒が自ら学習を進めることができるよう,検討を始めている。
 最後に,読書体験記コンクールで文部科学大臣奨励賞に選ばれた附属聾学校高等部一年生が,授賞式であいさつしているビデオを視聴しました。
「自分はこれまでずっと聴者の中に入ることを目標に努力してきたが,どんなにがんばっても聴者が早口で話していると内容がつかめず,嫌になっていた。その頃,大橋弘枝さんの『もう声なんかいらないと思った』に出会い,聴者と比べるのではなく,自分らしく生きていくことについて考えさせられた。読書によって価値観を変えることができると知った。」と,手話を交えてスピーチをしていました。授賞式に参加した方々は皆健聴者だったそうですが,本人がぜひ手話も使って伝えたいと希望したそうです。ビデオを見終わると,会場から拍手が起こっていました。