幼稚部研究協議会
(乳幼)

北海道函館聾学校

丹野 恵子

第40回全日聾研は,APCD第9回大会と併せて開催された。開会式後,講演,各国代表の提言より研究協議へとすすみ,関係各国の新生児聴覚スクリーニング検査後のフォロー体制と超早期教育プログラムとその方法,保護者・地域支援のあり方に課題が集約されていった。
 私は,3日目(10月11日)個人的には5年ぶりに筑波大附属聾学校幼稚部乳幼児相談の棟に足を踏み入れた。その日は,小春日和でベランダ,廊下と各国たくさんの参観者に囲まれて,2歳児5組の子どもと母親達が緊張の面持ちで我が子達とかかわって遊んでいた。気になってベランダを見つめる子や物を取り合ったり,小さなトラブルも続発し,授業者の緊張が手に取るように伝わってきた。
その日の2歳児グループの遊びのテーマは「3匹のこぶた」で手に手にトンカチを持って段ボールを打ち,家を造っていた。授業者は,オオカミに扮して子どもを追いかけたり,それぞれの子どもの興味に併せて母親に小声で援助していた。無理にグループ一斉の遊びにこだわる様子もなく,しかし,全員で名札の入った1つの缶の蓋に注目させながらかかわったり,身体を使った自然な活動や遊びにこども達は大喜びであった。保護者も焦りや戸惑いの様子も見られず,明るく前向きな印象であった。
相談が開始された月齢が,3か月から7か月で,聴力もかなり重度な障害を持っている子ども達とのこと。しかし,その実感が伴わないというか2歳児グループの親子の表情が明るく闊達で子どもらしく指導に無理がないように感じた。
授業分科会でもベルギーの研究者の方が,子どもだけでなく親も一緒に楽しめる活動を取り入れられていてすばらしいと賞賛されていた。またムーブメントプログラムについて,まさに親が楽しく表情や指さし,身振りをつかんで動く事,スキンシップをすることでリラックスできて親子の感情が豊かに行き交うようになると話されていた。
また,担当から題材や環境設定の工夫も紹介された。行事の劇で興味を持ったこども達に掲示でイメージさせたり,踊ったり,こども達の興味に気持ちを合わせた活動を援助しているという。あらゆる生活の場面でゆっくり子どもとつきあえるような子育て支援が必要だと思った。担当者間の情報交換をしっかり行い,プログラムの共有化と共に子どもそれぞれの個性にもつきあう柔軟性をも必要とされる。また,やはり大切な事はお母さんの苦しみとつきあうこと,子どもと上手につきあえる親だけではないので,より具体的に示すことが大切と分科会の中で確認された。
その後の研究協議については,限られた時間内に3本の発表が出され,それぞれに充分は討議できる状況になかったが,保護者支援に関して多くのヒントを得る事ができた。本当に授業・研究共に授業実践に基づいた発表で,これまで伝承されてきた附属の先生方の高い専門性と日々の研鑽から学ばせていただき有り難かった。今後自校で生かしていけるよう努力したい。