16.職業教育

愛知県立名古屋聾学校
北島 淳

本分科会では、「自らをみつめ、よりよい職業選択を援助する聾学校における職業教育の在り方について考える」をテーマに、午前中は三つの研究発表と質疑応答、午後は全参加校による取り組み報告と討議を行い、大阪府立生野高等聾学校長の森均先生からご指導ご助言をいただいた。

鳥取県立鳥取聾学校の猪口先生からは、「現場実践力向上への取り組み」と題し、産業工芸科において「現場実践力」をつけるため、コンピュータ実習や木材加工、特色ある科目「表具」の授業でのきめ細かい指導が発表された。次に、筑波大学附属聾学校の有友先生からは、「調理実習におけるパソコン教材の作成」と題し、HTMLで作成した基礎知識習得のためのソフトが紹介された。ビデオで様子を見る中で、生徒たちの関心や理解が深まっていく様子がよく分かった。また、大阪府立生野高等聾学校の藤田先生からは、「技能検定3級『普通旋盤作業』に取り組んで」と題し、機械科の歴史からアビリンピックでの旋盤部門の廃止、それを乗り越え技能検定3級へのチャレンジとその苦労、成果について発表があった。午前中は時間を20分ほどオーバーするほど活発な質疑応答も行われた。

午後からは、三つの討議の柱、@「技能の取得と学習意欲を高める資格や検定への取り組み」A「生徒が意欲的に取り組める教材教具や指導法について」B「時代に合わせた学科の改編等について」に分け各校の報告・討議を行った。@が一番多く、6校の報告があった。各校からは、県内の学校が共同で組織的に取り組んでいる状況や、高等部1年から履歴書を書く、定期考査等に検定問題を挿入するなど、資格取得への取り組みや職業意識向上への工夫が話し合われた。Aについては、4校が報告した。製作物のイメージ化のため、マルチメディアを導入している報告が多かった。Bについては、2校が報告した。学科名を変更する理由や目的には個人的に興味のあるところが多かった。また、東京都における聾学校の再編整備の報告があった。それぞれの討議の中で感じたことは、地域性や生徒の状況、学校を取り巻く環境はそれぞれ違うが、その中から共通した悩みや問題が見えてきて、それに対する議論の中でお互いに参考になる意見交換ができ充実した時間を持てたということであった。

森校長先生からは、「キャリア教育」に関すること、現在は小学校からブームとなるほどの検定の有効性について、生徒の意識・感覚の変化に対応するための「学校教育自己診断」についてなど、詳しい資料を交えてご指導ご助言があった。そして最後に「大阪での聾学校再編は、与えられたチャンスととらえていきたい」との言葉は、聾学校教員として帯を締め直さねばという印象を我々に与え、分科会は終了した。