15.芸術表現活動

大分県立聾学校
佐藤 京子

本分科会のテーマは「多様な創作活動に触れる機会を通して、伸び伸びと表現し、豊かな情操を育むための指導、支援のあり方を考える」であり、テーマ設定の理由としてあげられた言葉を拾っていくと、よりよい文化に触れる、伸び伸び表現できる、自信を持って表現、認めあえる、多様な価値観、自然と関わる、調和のとれた感性等である。

 さて、今年は芸術科教科音、美、書の3つの発表という形になり、討議しやすいものになるであろうと予測された。最初に青森県立八戸聾学校より「書の活動を通した心の交流」の報告、次に三重県立聾学校の「表現活動が育むもの−聾教育の中での図工、美術科の役割−」、筑波大学附属聾学校の「生徒作品を活用したパソコン教材の作成」そして大分県立聾学校からは「本校の図工、美術教育−個人制作を共同作品に−」の3本の図工美術の発表が行われた。午後から大阪府立堺聾学校の「通級指導における聴覚学習と音楽」、埼玉県立坂戸聾学校の「お互いが関わり合い楽しめる音楽の授業−タップダンスを用いて−」、愛知県立一宮聾学校の「心をひとつに4年間の器楽合奏支援をとおして」の3本であった。助言者に大阪教育大学美術教育の長町充家教授、音楽からは大阪教育大学の小島律子教授を交えて熱い討議が進められた。

 書道では、作品展を通して作品の向上のみならず社会性や人との交流、思いやりが育っている様子が伺えた。資料の作品群は、生き生きしたすばらしいものばかりであった。美術ではいくつかの質問、意見が出されそれに対する論議がなされたが、時間不足で整理できにくかったのは残念であった。「基本的な技術とは?」「現代美術の取り扱いについて」「言葉の確認、書くことについて」「きれいな色とは?」「色の名前とはどの呼び方なのか?」「パソコンによる鑑賞教材の利点と生のものではない問題点」「普通校で取り扱っている美術用語」「幼、小、中、高の一貫教育として」「意図を持った年間指導計画」等が話題となった。

まとめとして助言者から、人間教育をベースにしてその上に美術教育、聴覚障害教育を考えようという言葉は枝葉のことにとらわれることなく暖かい人間愛のまなざしを感じうれしかった。音楽では、音をお互いが見あえるタップダンスで表現しようと試みた発表が印象に残った。ボディパーカッションや和太鼓の楽しい音楽、器楽合奏コンクール受賞等、それぞれの学校での教師たちの頑張りが伝わってきた。助言者から、音楽は音符からはいる必要はない、知覚感受(感じ取る力)が大切、音楽は聴覚だけのものではない、「それはダメ」でなく意欲、関心が大切で、できることからしていく等、ここでもまた、人間にとって音楽とは何か、という根本的な示唆をいただいた気がした。