10.算数・数学

岐阜県立岐阜聾学校
安藤 邦寿

本分科会は、「楽しく学び合いながら、算数・数学的な力を伸ばすための授業について考える」をテーマに、4本の研究発表があった。

奈良県立ろう学校小学部からは、子どもたちが「自ら学び考える力」を身に付けるために、話し合い活動を取り入れ、算数的思考を高める研究発表があった。今回の研究で、周囲の友だちの思考も引き出すことができるようになったり、既存知識を総合した様々な考え方や解き方を見いだすことができるようになったと報告された。実際に課題解決に向けた話し合いの様子が、ビデオで紹介され、子どもたちの生き生きとした姿が印象的であった。

神奈川県立平塚ろう学校では、客観的評価の指標の一つとしてCRT学力検査を毎年行っており、個人の達成度をみるものとして活用している。この検査については現在も分析中であり、今回の報告は途中経過として報告された。この分析の総括としては、算数は、高学年になるほど教科書対応の指導が難しくなる傾向にあること、低学年では数の具体的操作を基にしたしっかりした数の概念形成が重要な課題であることが報告された。さらにこの研究では、平塚ろう学校の聴覚口話→キュードスピーチ→手話の導入といったコミュニケーションモードの変遷と学力との関係を知る一つの指標となる可能性もあり、今後の分析結果に期待したい。

愛知県立名古屋聾学校は、高等部の生徒の「正と負の数の計算の指導」の中で、生徒がつまずく部分の実態を分析し、そこから広げた指導として因数分解、1次関数の指導事例が報告された。例えば1次関数の指導は、式→表→グラフ→傾き・切片という学習を積み重ねて学習を深めたこと、またグラフのイメージをもちやすくするために、自分の立った位置で両手を広げてグラフの傾きを表すなどの学習である。こうした指導によって、式を見ただけでグラフをイメージしたり、グラフを見て式を求めたりすることがスムーズにできるようになったなど、指導方法や教具について工夫された報告であった。

上越教育大学の黒木先生は、算数・数学の分科会で継続的に研究を報告してみえるが、今回は手を動かし作業するといった操作的な学習によって、数学的な性質を探求するという報告であった。星形図形を子どもたちが考えた方法で描かせたり、多角形がいくつかの三角形に分けられることに気付かせるなどいくつかの問題を解く中で「結果の類推」ではなく「方法の類推」に結びつけていくことが大切であることを強調された。

助言者の先生からは、それぞれの発表に対する助言と共に、数学は「いかにして人間の生活を楽にしていくかを考える学問である」ということと、再度数学の良さを子どもたちに知らせていくことが大切であるなどの助言をいただいた。最後になりましたが、今回の分科会で発表していただいた先生方に感謝致します。