2.総合的諸問題

筑波大学附属聾学校
最首 一郎

「21世紀を担う幼児・児童・生徒の育成に関わる諸問題を総合的、多面的に考える。」というテーマのもと、四十数名の参加者で予定通り行われました。8本の発表すべてが、パワーポイントによる発表で写真やビデオを交えながら、とてもわかりやすい内容でした。

初めの3本は通級指導に関するものでした。堺聾学校の発表では、ペア学習、WANPAKU交流会が大変興味深いものでした。コミュニケーションの大切さ、同じ障害を持った子供達との出会いということの大切さが実感できました。豊橋聾学校は、巡回中心の通級指導の発表で、小学校の子供達に補聴器の体験をしてもらったり、中学校の担任の先生と話し合ったり、今後の特別支援教育へのモデルになりそうな内容でした。平塚聾学校の発表は、親子学習会、サマーコミュニケーションスクール、出前授業、職員研修等多岐にわたる報告でした。普通校に通っている難聴児、保護者、担任の先生のみならず、地域の学校で学ぶ難聴児の家庭にも呼びかけるなど地域支援活動まで行われていることに感嘆いたしました。これら通級指導に関する発表に対しては、6件ほどの質問があり、活発なやり取りが行われました。通級指導はこれからの支援教育あり方を考える上で、とても参考になる発表だったように思います。助言者の井坂先生からは組織としての専門性、有識者との連携や広報活動の大切さも指摘していただきました。午前の最後の発表は、富山ろう学校の自立活動の個別の指導計画についての発表でした。自立活動の具体的な指導内容については苦慮する所ですが、その子にとって何が必要なことなのかを複数の教員で検討し、個々の実態にあった指導計画作りをシステム化することはとても意義のあることだと感じました。午後からは4本の発表がありました。宮城聾学校の陸上部の報告では、「ろう学校だからできる」という指導者の意識と生徒に自信を持たせながらの指導、長い試行錯誤を経て新任から10年かけて軌道に乗ったというお話には、先生の熱意が窺えました。生野聾学校の話し合い活動についての発表は、話し合い活動の場面をビデオに撮り、数年にわたるきめ細かな研究をされていました。補足資料を拝見し、小学部での手話に関するこれだけの研究成果は、聾の先生の果たす役割の大きさを感じました。岡崎聾学校からは、道徳教育の在り方についての発表がありました。

「なかよし大作戦」と名付けられた高学年と低学年の触れ合いは「豊かな心を育む」取り組みとしてたいへん興味深いものでした。最後は、立川ろう学校の各学部の特色を生かした人権教育の実践の報告でした。「すてきな木」の取り組みは、良いところを見つけ、頑張ったことを評価することの大切さを教えていただきました。発表後の討議では、聴覚障害の先生方が積極的に発言をされていました。今後の聾教育の課題などが出されていました。井坂先生が言われたようにplan(計画)−do(実践)−see(評価)で、実践をしっかり評価していくことの大切さを改めて感じました。