13.寄宿舎教育


鹿児島県立鹿児島聾学校

角島 あつよ

寄宿舎教育では「豊かな人間性と社会生活に適応できる力を育てる指導支援の在り方」をテーマに9件の発表(1件は紙上発表)が,冨田正二先生の助言を頂きながら進められた。

初めに『基本的な生活習慣に関すること』では水戸校より幼稚部S君について,入舎当初(3歳)の様子から寄宿舎全体と関わりながら成長していく過程で『時間をかけること』『待つこと』がいかに大切かと報告された。北海道高等聾学校では,指導実践の中で生徒自身の生活プログラムを決め,それをやり遂げたかを管理していく様子を報告された。冨田先生から「特に心掛けたい事として,指導者同士の共通理解と対応が異ならないように」との助言を頂きました。群馬校では,『起床』について寄宿舎生活の中でどう位置づけていくか。目的意識を持たせ,自覚させることを目標に,苦慮されながらも継続し取り組まれた様子が報告され,名古屋校からは,食生活のねらいとその変容性について触れ,食事係の舎生が内容を理解し,皆に解りやすい表現と文章で伝えたことで真剣に受け止められ「食育」の必要性を,今のこの飽食の時代だからこそしっかりと伝えていければと実践報告をされた。岡崎校では,舎生会活動を通して異年齢での集団生活は「社会生活の縮図」ととらえ,仲間づくりをしていくことの難しさを痛感している現状や一方で共同生活を意識し始めると,それ以降の変化は予想をはるかに超えスムーズに図られるという確かな手応えについて報告された。

午後より『コミュニケーションの向上に関すること』で京都校の報告から始まった。小学部まで養護学校に通っていた舎生が入舎してからの日々の他の舎生との関わりで変化している取り組みが報告された。山形校は,人との関わりが楽しいと思えるよう,生活の中で取り組まれた様子が報告された。最後に『社会自立に関すること』では,宮城校・一宮校から報告され,一人暮らしの体験生活を実践することで,卒業後の事も念頭に置きながら自立への意識付けと体験生活の意味を考えることが出来るようになり,意欲的に取り組んでいる様子が伺えた。

それぞれの研究発表に対し助言者の冨田先生は,職場でも取り組んでおられる生活自立を軸にして「一人暮らしのマナー」という本について紹介し,携帯電話の使用,クレジットカードの問題などさまざまな情報が錯そうし,必要に迫られ作られたものであることを強調した。司会の伊藤先生からは,教育の積み重ね,繰り返しトレーニングの大切さを述べた。継続していくことが一人一人に力を付けていく軸として,変化していく社会に対応し,子どもが限りない良さを,少しでも表したときに,喜びに変えられるようにしたいとまとめられた。

良き指導者とは,良きトレーナーであり,良きアドバイザーであると話された事を常に心に置き,そして舎生にとって,寄宿舎がかけがえのない場所となるように日々努力していきたいと思う。