12.重複障害教育


鳥取県立鳥取聾学校

宮根 寿恵

本分科会には約30名が参加し、「子どもたち一人一人の思いを大切にし、自立していく力を育てるための支援の在り方」というテーマのもと、10校の研究発表がなされました。午前中の発表では、愛知県立豊橋聾学校、島根県立松江ろう学校、神奈川県立平塚ろう学校から、地域の老人ホームや養護学校との交流学習などの実践が写真やビデオを交えて発表されました。3校の発表とも将来の進路を見据え、子どもたちが自信を持って「自分らしさ」を大切にしながら成長していくための支援がたくさん詰まっており、感銘を受けました。なかでも、平塚ろう学校は、隣接された公園を有効に活用し、「鳩」との活動や葉っぱ流しなど児童の「自分らしさ」を尊重したユニークな活動を展開されていて、今後の実践の参考となりました。また、愛知県立千種聾学校と大阪府立生野聾学校からは、自閉症を併せ持つ児童に対する実践が発表されました。千種聾学校の発表は、集団と文化との出会いの入口でつまずく児童に対し、指導者が問題行動に目を奪われることなく、仲間との関わりを大切にした支援を行うことで児童の世界が広がり、天敵だった2人の児童が、出会いから4年で「かけがえのない友」に変わっていった実践発表でした。今、まさに“天敵”の2人の児童を担任する私にとって、学ぶところが多くあり、深く印象に残りました。

午後からは、続けて5つの研究発表がなされました。坂戸ろう学校からは、極小未熟児に対する排尿の自立と言語・認知の表出を促す取り組みが発表され、きめ細やかな日々の記録をもとにした支援の大切さを感じました。青森県立八戸聾学校、愛知県岡崎聾学校、宮城県立ろう学校小牛田校、京都府立聾学校からは、文字・手話・指文字などのコミュニケーションの幅が広がることによって、相手を意識し、伝えようとする気持ちが育ったり、気持ちや行動を調整できるようになったりなどの発表を聞きました。改めて、仲間集団とその中で通じ合うコミュニケーション手段の大切さを感じました。また、児童の実態を丁寧に把握し、保護者や子どもの願い・思いに寄り添い、長い見通しをもって実践を積み重ねることの大切さも感じました。

本分科会の助言者は、三重大学の姉崎先生でしたが、先生のこれまでの経験をもとに、具体的な支援や教師の在り方について貴重なご助言をいただきました。その中でも「学校は子どもが主人公であり、教材や教師に子どもをはめこんではいけない。子どもの興味・関心をじっくり見極め、それを最大限に生かしていくことが大切。」ということばが印象に残りました。発表数が多く、台風の接近で時間も短縮され、協議に十分時間をかけられなかったことが残念でしたが、多くのことを学ばせていただいた分科会でした。今後の実践に生かしていきたいと思います。