9.自立活動


静岡県立浜松聾学校

久野 日出夫

本分科会では,「豊かな言語力を培い,生きる力をはぐくむ言語活動の支援の在り方」というテーマのもとに,8つのレポートによる発表が行われました。

北海道札幌聾学校からは,「ことばを育てる指導法」について,集団の中でディベートをする大切さ,横道にそれないように教師側が適切なアドバイスや具体例を示すことの必要性を発表されました。

旭川聾学校からは,「個別の指導計画について作成するための手順や必要性」について、おもにコミュニケーションに絞って発表がありました。

筑波大学附属聾学校からは、「聴覚障害児の日記文における内容的推移に関する研究」について発表がありました。一人の児童の低学年3年間における日記文の推移をグラフ化し、年齢に応じた感情表現や考え方、記述の変化がはっきりわかりました。また教師側で日記文の良い例を示していくと、より効果的であることを知り、あらためて日記指導の大切さを感じました。

群馬県立聾学校からは、「本校高等部生徒の障害認識と社会性」について発表がありました。聾学校と普通校の違いから生じるメリット、デメリットがあり、その中で、少人数からくる人間関係、縦社会(上下関係)の希薄さが、障害者と健常者の溝を深めているという意見が印象に残っています。聾学校からの視点だけでなく普通校や企業側からの視点で話されたことで、障害者にとって、社会自立の難しさを教えられました。

分科会の最後に、全体を通して助言者の市橋詮司先生(東海医療福祉専門学校)から、各発表に助言を頂きました。その中で「障害者、特に聴覚障害者は就職に関して優遇され、小集団で幼稚部から高等部まで成長していくことで縦割りの中でも気にせず生活できているが、そのために社会常識(縦社会)が身に付かないことがある。この点は、教員が社会の厳しさを指導していかなければならない。しかし厳しくすることは一般常識、マナーを身に付けさせるのには近道ではあるが、それだけでは子どもたちの本質を変えることはできない。理解できるように話すこと、教員が模範を示すことを粘り強く行うことが大切である。」と長年の聾教育の経験から熱心に説明していただきました。

聾学校という狭き社会の中で、固定観念にとらわれていたのではないか、また社会自立には、コミュニケーション手段はもちろん、一社会人を育てる聾教育とはどうあればよいか改めて考えさせられる研修となり、自分自身はもちろん、聾学校教育に関わる者すべての課題になったのではないかと思いました。この研修で学んだことを今後の指導に活かしていきたいと思います。実り多き研修会、分科会となり、参加できたことに感謝します。