1.総合的諸問題


栃木県立聾学校

長谷部 明

台風23号接近の最中、大会2日めの研究協議分科会が開催された。参加者は59名。会場内は、発表の準備をされたり、旧知の方々が久闊を述べられたり、台風関係で地元との連絡を取られたりと慌ただしい。会に寄せる期待感とともに、迫り来る台風に対する重苦しさが入り交じった空気が漂っていた。

会は予定通り9時30分に開始された。総合的諸問題の分科会とあって話題は豊富。7つの発表は、内容的に大きく3つに区切られ、それぞれにおいて、発表・質疑応答・助言(国総研:藤本氏、筑波技短:根本氏)がなされた。

最初は附属の体育関係のパソコン教材。内容がきちんと整備されたCDを自校にも欲しいとの囁きが聞かれた。昨今めまぐるしく変化を続ける聾教育界で蓄積された各種の有効な教材や知恵を容易に共有化ができないものかと思う。

次に西垣氏の「障害認識」の研究。この使い慣れた言葉の中に、真実は隠されているのか。多くの意見や感想が後々の協議でも引用されていた。今後の聾教育のスタンスとして、皆が真摯に再考しなければならない概念であろう。

続いて通級指導教室関係の発表。白井先生の経験豊富な話と知識には説得力がある。聾学校の中しか知らない者にとっては、外部の難聴学級等の事情や生徒のニーズは不明な点が多い。何を支援すべきか。特別支援教育において、従前の聾学校内部の知識だけでは、適応できないことも出てくるだろうと感じた。会場のガラス窓に当たる風は怖さを増し、台風のさらなる接近を感じさせる。

2つめの区切りでは名古屋聾学校から機械科連携教育の現状が発表された。30年におよぶ貴重な経験談。そこで聾学校生徒と触れ合った一般高校生の数が実に多数におよぶことを助言者より気づかされる。今後の各県での積極的な取り組みに期待が寄せられた。

3つめの区切りとして、今回の分科会のテーマに直接関わる3つの発表があった。北海道高等聾の谷先生、岡崎聾の今村先生、岐阜聾の林先生。いずれも生徒たちを中心に据えた愛情あふれる実践レポート。関わった先生方は大変だろうとご苦労が偲ばれるが、お話は実に楽しそうに優しい言葉で語られた。自校に持ち帰って実践するためにはもっと詳しい話をお聞きしたかったのだが、ここで鉄道が不通になったとの連絡。会場にそわそわムードが漂いはじめた。

以後も会は続行され、研究協議と助言へと進んだ。聾学校の生き残りをかけた話題が中心をなしていた。密度の濃い内容で多少の意見の対立場面もあった。 藤本氏の行政面を踏まえたわかりやすい助言に聞き入ったり、また、根本氏の障害に対する(ICFの)考え方にも興味を持った。

その後の報道で知った台風や地震の被害。発表なされた該当地域の先生の顔が浮かび、先生方のご壮健や同校の一日も早い復興を願わずにはいられない。