寄宿舎教育

筑波大学附属聾学校
宮代 律子

三重聾学校寄宿舎では2002年から「豊かな心を育む、環境教育を目指して」をテーマにこれまで取り組んできたとのことで、その実践報告があった。これに先んじて午前中に寄宿舎公開と、ビデオによる寄宿舎の一日と舎行事の紹介があったため、抵抗なく発表をきくことができた。

 寄宿舎改修を機に<生活環境に目を向け、みんなが気持ちよく生活できるにはどうしたらよいか>から出発した取り組みだった。2002年は「今、自分たちができることは何か」を目標に、日常の清掃活動・ごみの分別・環境活動の紹介をし、2003年は「できることからはじめよう」を目標にして、それまで職員の主導で進められがちだったものを自治活動の美化係を中心に活動させるようにもっていき、その結果、「寄宿舎の環境を考える会」を月1回開き、「寄宿舎内外の掃除活動」や「きれいな寄宿舎を続けるにはどうしていったらよいか」について舎生が主体的に話し合い、いろいろな活動につながっていったとのこと。それは身の回りの清掃にとどまらず、畑や花壇の除草作業、花の苗植え、さつまいもの苗植えと収穫、そして海岸のごみ拾いにまで発展し、次第に舎生の意識が高まってきたという発表だった。

 この発表に対して、卒業生が就職先で掃除をきちんとする、便器もぴかぴかにしているというので大変誉められたという例をあげ、日常生活に役立つことを身に付けさせるのも寄宿舎の大事な役割ではないかという意見がでた。またこのような活動は単にきれいになるというだけでなく、子どもの人間関係にもよい影響をもたらすのではないかという意見もあった。

 最後に助言者の市橋先生はややもすると自分さえよければいいという風潮のなかで、思いやりや物を大事にする心は人を大事にするということにつながり、これこそ心の豊かさを育む活動である。このような人間形成に役立つ経験ができる寄宿舎の生徒は幸せであると断じてくださった。

 今、寄宿舎の存在意義は何かと問われ、おおかたの寄宿舎指導員はあるべき姿を模索しているのではないか。寄宿舎だからできることがあるのではないか。将来、寄宿舎の生活経験が生きる糧になれば、と願いつつ活動している。そういう意味で本研究会の発表はとても共感できるものがあったし、的確かつ温かな助言に大丈夫だよと励まされた気がした。