中学部教育

奈良県立ろう学校
木下 理恵

理科・数学・英語の公開授業が終わると、中学部特別教室に中学部生徒が三々五々入ってきた。二時間目は、特別教室で指定授業中学部全学年「総合的な学習の時間」がある。教室に入ると、生徒達は既に多数いる参観者を気にする様子もなく、あちこちで手話をコミュニケーション手段とする会話の花を咲かせた。公開授業では姿勢も崩さず、少し不安げな硬い表情だった生徒達が、まるで別人のようににこやかで楽しそうだった。指定授業の題材「社会見学に行こう!」(社会見学の事前学習)は、2週間後の社会見学に向け、中学部全学年11名が2チームに分かれ企画してきた計画の中間発表だった。Aチームは、行き方や行き先の特長を模造紙3枚に表示し、それを使って説明した。説明担当は順番に全員が行った。説明のあと、内容についてどれくらい理解されているかを量る質問を相手チームに行った。Bチームは初めから相手チームに質問をし、正答を示すことによって自分たちの計画を伝える進め方であった。どちらの表示物も、写真等の視覚情報を多数採り入れた楽しいものにできあがっていた。生徒達は、友達の発表時には失敗なく終わるように緊張の面持ちで見守っていた。そして、一人ひとりが緊張しつつも生き生きと発表を楽しんでいた。発表を終えて、チームのリーダーから「手話が上手になった」「みんなで相談してできてよかった」などの感想が出された。「グループの全員で協力する」「よく伝わるように工夫して発表する」という目標を持って取り組んだ様子が両班の発表から伝わってきた。

 午後の研究協議では、初めに指定授業について丁寧な報告があった。研修テーマに「自ら学び、自ら考える力を育てよう」を掲げ、中学部としては総合的な学習の時間を中心に、自主性を尊重した取組を進めてきた。3年が過ぎ、個の力はついてきたが、集団での活動に課題が残った。そこで、4年目となる今年度は全学年で活動する総合的な学習の時間を設定し、キャンプや社会見学などを題材に、「集団の中で活動できる生徒」を育てる指導を進めてきた経過が報告された。続く質疑応答では、・総合的な学習の時間で押さえている観点・生徒間の日常的なコミュニケーション手段・各教科領域における個別の指導計画の有無・交流教育の状況・評価の工夫・生徒の変容・表記上の問題と指導のあり方等について意見交換した。最後に、授業に対する感想として、「生徒達が自由に意見を述べ合う自主性や向上心」に共感する声があげられた。

 中学部会では、二つの討論の柱が設定されていたが、質疑応答に終始した観があり、討論の柱に沿った研究協議のあり方を考えさせられた。