会長の任を終えるに当たって
全日本聾教育研究会

前会長 別府 亮次

(北海道高等聾学校長)

本会の理事会において、各地区の研究活動の様子を提供しあう機会があります。どの地区も、幼児・児童生徒一人一人に今以上の質の高い指導力を持って対峙しようとする意気込みが感じられます。本会は各地区聾教育研究会を単位団体として組織されていますので、地区の聾教育にかける思い、情熱が一同に結集される機関であり、それらに基づく教育実践、教育研究は本部の聾教育の充実・発展に大きく貢献しているといっても過言ではありません。 なかんづく、全日本聾教育研究大会は開催地区各聾学校・主管校の微に入り細に穿っての計画のもと、今を分析しこれからを見据えた目標を設定し、目標達成への授業公開の提供など、参加者はもちろんのこと、全国各聾学校に対しても新たな創造を醸成させてくれます。 私たちは学校現場、地区研究会、全日本聾教育研究会において、課題や問題解決の方法を、単に机上の論に終わることなく、授業を大切に扱い、それらを通した実践的な研究を積み重ねることに邁進してきました。そして、幼児・児童生徒一人一人の確かな成長の証に自分たちの研究の成果を見いだすという内容であります。この姿勢は、聾教育の草創期からの先輩諸氏の精神であり、教育に欠かせない伝統として今も引き継がれています。社会が大きく変化しても、価値観が多様であっても、伝統はそう簡単に消滅することはありません。

今、聾教育を取り巻く環境は大きく変化してきております。幼児・児童生徒数の減少や聾教育の専門性など多くの課題が山積みしており、これまでの伝統だけでは解決できないという現象があります。不易な内容を堅持しながらも、これからの時代を見据えた創造的な聾教育の推進を図らなければなりません。このような時期に新会長に東京都立立川ろう学校長の秋谷義一先生をお迎えできたことは喜びと期待でいっぱいであります。先生は聾教育に造詣が深いことはもちろんのこと、全国聾学校長会の会長を歴任され、高い識見から適切なリーダーシップを発揮される優れた先生です。新会長のもとに役員・会員のみなさんが英知を出し合い、いっそう充実する全日本聾教育研究会を目指していただきたいと願っています。

小澤前会長の後を受けて会長の重責につとめましたが、微力とともに、北海道という地域もあって関係各位に多大な迷惑をかけたことをお詫びします。 筑波大学附属聾学校の本部事務局の先生方の適切な指示・提案、理事・役員のみなさまの建設的な意見を審議、研究大会開催地区会員の大会成功に向けての情熱などなどに支えられましたことに深く感謝します。また、研究会の内容・運営等にご助言くださった全国聾学校長会の先生方をはじめ、関係機関の各位に厚くお礼申し上げて退任のあいさつにします。


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