15.寄宿舎教育


筑波大学附属聾学校

木村 美津子

「生きる力と豊かな心を育む寄宿舎教育について考えよう」のテーマのもと、8件の発表とそれに基づく協議が、指定討論者の大泉溥先生の適切な助言によって、方向性を示して頂きながら進められました。

初めに、それぞれの研究発表が行われましたが、私なりに考えて内容は大きく分けて3つあったように思いました。

まず、「子どもたちに直接関わること」では、北海道高等聾学校より自治活動を通して指導員との信頼関係を築くことの大切さ、子どもたちにルールを教えることの難しさが報告され、浜田校では、入舎当初は身の回りのことも出来なかった舎生が、指導員全員の働きかけで変わっていく様子が報告されました。大泉先生からは、「舎生へのアプローチ、すなわち人間として子どもたちと向き合うことが一番大切だ」という助言を頂きました。盛岡校では、ビデオや新聞記事を使って性に関する指導をすることで、子どもたちに性感染症の怖さや命の大切さを教えるという取り組みが報告されました。

次に「自主性を大切に、子どもたちを見守ること」については、宮城校より、一人暮らしの類似体験をすることで、将来に向けた自立を促すという取り組みが報告され、酒田校からは、余暇時間の活用で子どもたちがぶどう狩りの企画、交渉を経験することで、子どもたちが自信を持ち、生きる力につながったという実践報告がありました。坂戸校からは、仲間同士でのコミュニケーションを通して自分を表現できるまでに至った経過の報告がありました。この3件の発表では、指導員が子どもたちと距離をとりながらも、ここぞというときに適切な指導をされていることが伺えました。

最後に「寄宿舎の運営、安全管理について」では、大宮校より体験入舎をめぐって寄宿舎と学校、保護者との連携のあり方についての報告が、附属校からは、30年にわたる寄宿舎の防災における安全対策を図る取り組みの報告がありました。

それぞれの研究発表に対し、大泉先生から丁寧にひとつひとつ助言を頂きました。その中で印象に残ったのは、それぞれの発表は子どもたちのことを言っているが、実は寄宿舎の在り方と指導員に求められるものが何なのかを問われていると指摘されたことです。最後に我々指導員に必要な力として、1つ目に危険を回避し、子どもたちの安全確保をする努力、2つ目に年齢が異なる者同士が快適に暮らせるようにするための工夫、3つ目は子どもたちとの関わりを通して、指導員の洞察力と受け止める力、指導員間の共通理解と提案する力、とご提言を頂いて分科会が締めくられました。

日々の仕事の中で、大切なことを改めて再確認するのと同時に自らの仕事を振り返り、はっとさせられました。これを糧に、寄宿舎指導員の役割と舎生との関わりについて今以上に掘り下げていかなければ、と痛感した本分科会でした。ありがとうございました。