12.重複障害教育


岐阜県立岐阜聾学校

安藤 邦寿

重複障害教育の研究協議分科会は「より豊かに生きていくための個に応じた支援のあり方を考えよう」というテーマのもと、4件の研究発表がありました。広々とした落ち着いた会場という効果もあったと思いますが、参加者の先生方から次々と意見や感想が出され、時間の経過を忘れるくらい非常に活発な研究協議会になりました。

私も何度か全日本聾教育研究会に参加させていただいていますが、今回の重複障害教育は今までにない有意義で充実した研究協議会であったと思います。言い換えればそれだけ全国の聾学校の重複障害教育に携わる先生方が、大変深い思いをもって日々の教育実践を積み重ねてみえるという事だと思います。

会の進行は、午前中に4件すべての発表を終え、午後からはそれぞれの発表についての質疑応答と、事前に司会者の方から示された協議の柱に沿って研究協議が行われました。司会者の方からは今回の発表内容に共通すると思われる内容について次のような研究協議の柱が提案されました。(1)コミュニケーションの方法について。(2)自閉症を併せ有する障害児へのかかわりについて。(3)子ども実態から支援計画を作成することについて。 (4)各校の情報交換。

今回の4件の発表では、いずれもビデオ、プレゼン、補足資料が用いられ、分かりやすくまとめられた発表であり、参加された先生方からは、自分の実践もふまえた具体的な意見や質問が出されました。特に千種聾学校の先生からは、大変珍しいコフィン・ローリー症候群という男児の事例発表がありましたが、こうした希少障害については今後も実践研究の成果を継続的に発表してもらいたいと思いました。

本分科会は、指定討論者として、独立行政法人国立特殊教育総合研究所の後上鐵夫先生が参加してくださいましたが、それぞれの発表に対する的確なアドバイスと、重複障害教育全般に通じる指導の重点や指導者のあり方について、一つ一つ大変貴重なお話を伺う事ができました。後上先生は今回の発表全体を総括して、(1)できるだけ視覚的な伝達方法を用いる。(2)具体的な事項に置き換えて伝達する。 (3)言語にこだわらない(ノンバーバル)事が大切。(4)可能な限り即応する。という共通する事項を示してくださいました。そしてまた、後上先生は、「まもなく特別支援教育が始まりますが、その中に、重複障害教育が埋もれていってしまわないようにしていかなければならない」と言われましたが、このことばの中に今後の重複障害教育における私たちの責任の重さを感じました。