11.自立活動−中学部・高等部


富山県立富山ろう学校

鈴木 甲一朗

本分科会では『生徒が主体的に学び、自分らしく生きる力を育む「自立活動」のあり方について考えよう』というテーマのもと、3つの研究発表がありました。

まず、千葉県立千葉聾学校の宮下恵子先生より「聾学校中学部における障害認識について」「きこえないこと」「きこえない人たち」「きこえない自分」を相互に関連づけて認識を深める指導実践報告がありました。

次に愛知県立岡崎聾学校の中根尚子先生より「中学部における自立活動授業の実践」について報告がありました。インテグレーションした難聴の生徒にとって気を許せるのは聴者の生徒であるが、日常会話のレベルで話の内容が分からず、さらに、そのことを知られたくないという心の葛藤があるとのことでした。

最後に兵庫県立姫路聾学校の東馬場優江先生より「自立活動の取り組み?障害認識に対する調査を通して?」について、ディベートを通して障害について考えるという内容の授業実践発表がありました。

後半は「障害認識」にテーマを絞って討論を行いました。指定討論者の滋賀県立聾話学校の西垣正展先生から「障害」には「さまたげ、機能の故障、ハードル」など意味に微妙な違いがあり、「障害」の受け止め方にも5段階があるという提案があり、「障害という言葉の意味」や「障害の受け止め方の段階について」討議を深めていきました。この中で障害観は障害の種別ごとに捉え方が異なり、視覚障害、聴覚障害の場合は、いまだに否定的な捉え方をされることが多いこと、特に聴覚障害の場合は、ろう者が認める捉え方と、その周囲にいる聴者が認める捉え方には大きなギャップがあり、共生していく上での問題点となっていることが印象に残りました。

次に聴覚障害児の成長過程における障害認識の段階について、特に中学部から高等部の受け止め方には「自分の障害を客観的に受け止める」という段階があるとのことでした。情報が入りにくい障害のため「客観的に考える」ことは難しい面もあるが、重要な課題であると思いました。また、その討議に関連づけて「ろう者の限られた狭い世界」に関する話題になりました。現在多くのろう学校ではいろいろな交流会が行われているが、教師の「お膳立て」が多く、受動的な活動が多いのが実態であるとのことでした。そのため、生徒はコミュニケーションの必要性を感じることが少なく、実質上の身近な聴者は教師のみで、生徒と教師がなれ合いの関係になり、けじめをつける習慣が身に付きにくいという指摘もありました。また、もっと「きこえる社会に近づける」ことが必要だという意見も出ました。

興味深い実践報告と障害認識についての様々な考えに触れることができ有意義でした。