10.総合的な学習


茨城県立水戸聾学校

菊地 香

本分科会では「子どもの生きる力の育成を目指して,各学校がどのような創意工夫を生かした取り組みをしているのか,活動のあり方について考えよう。」をテーマとして,指定討論者に高知県立女子大学の吉野公喜先生,東京都立立川ろう学校の秋谷義一先生を迎え,実践事例の発表や討議の柱をもとにした討議が行われました。

午前中の実践事例の発表では,運動会をテーマにした学校,話し合い活動を大事にする学校,総合的な学習で身につけてほしい力を簡潔明瞭にまとめた資料を提供してくださった学校,高等部3年間で進路,自然,国際理解というテーマで学習できる工夫をした学校,調べたことの発表に重点を置き子どもの表現力をみがいている学校など,様々な事例がありました。どの事例も,総合的な学習の時間のねらいである「『生きる力』をはぐくむこと」を的確にとらえ創意工夫された取り組みでした。中でも,日本聾話学校の子どもたちが自分たちの課題である「鯉をつかまえること」の解決に向け,時間をかけて自ら学び,自ら考え,主体的に活動した姿には心を打たれました。また,各校でイメージマップやウェビングという技法を用いて,子どもの考えや創造力を膨らませていく支援のあり方もたいへん参考になりました。

午後は,3つの柱に基づいて討議が行われました。

T「課題設定に対する支援について」では,イメージマップを用いて子どもに課題を設定させる学校や,大テーマを教師側で設定し,その中から自分で課題を見つけさせる学校,学校行事をテーマとして取り上げる学校などがあり,それぞれの良さについて情報交換がなされました。

U「課題解決に対する支援について」では,子どもが自分から進んで課題を解決できるように教師は待つ姿勢が必要であるとか子どもたちの話し合い活動の大切さなどが話し合われました。また,指定討論者の吉野先生から,総合的な学習を大事にしない学校には存在理由はない。「生きる力」をはぐくむために総合的な学習は不可欠であるというご意見があり,本分科会にもっと多くの校長先生に参加してほしいという次年度への提案もなされました。

V「次の探求活動につながるような評価について」では,自己評価や相互評価の他にも,子どもから教師への評価や教師間での子どもの表情や言動への評価も必要ではないかという意見が出されました。

最後に,吉野先生より,総合的な学習を構造化し各校で独自性のある取り組みを行い,子どもがどう変わったかを評価していくと良い。「教育的人間関係(相互主客二役性)」(元東京大学の梅津先生)というものがあり,手助けの効果がないと手助けしたことにならない。つまり,効果がないのは子どものせいではないという,今後の総合的な学習の時間の進め方や支援のあり方を示唆するまとめをいただき,分科会は閉会されました。