5.自立活動−聴覚補償


大阪府立生野聾学校

中道 勝久

本分科会では、討議の柱として、『聴覚活用の幅を広げるために、親、子ども、職員への支援はどうあったらよいか』、『聴覚活用の幅を広げるために、補聴器の選定や調整はどうあったらよいか』の2つを設定し、7本の発表を受けて協議が行われた。

聴能の担当者をおいて聴能関係の専門性を保ちながら聴覚学習や保護者支援、職員研修などのとりくみを推進している横浜市立聾学校幼稚部の発表、聴力測定を聴覚学習の一つとして児童が意欲的に受けられるよう工夫し発音学習や補聴器の調整などに活かした福井県立ろう学校の発表は、担当者が学級担任と連携しながら子ども一人一人の状況に応じた指導をすすめているものであった。また、音楽の時間における活動を通じて聴覚学習を促していくという川崎市立聾学校の実践は、音楽科が聴覚障害教育の大切な教科であることを改めて認識した。これらは同時に、聴覚障害教育が担うセンターとしての専門性や内実、学校における体制を今後どう発展させていくのかという課題を改めて提起するものであった。

補聴器の選定や調整に関する研究実践では、乳幼児期における補聴器の装用開始段階で耳かけ形補聴器がベビー形やポケット形よりも問題点が少ないという筑波大学附属聾学校の発表、デジタル補聴器のフィッティングに関する石川県立ろう学校の発表があった。近年の新生児聴覚スクリーニングの広がりや急速なデジタル補聴器の普及を背景に、補聴器の装用開始段階における支援、デジタル補聴器の適合に関する適合や評価が学校現場で厳しく問われていることを再認識した。

また、補聴器の効果、評価に関する研究実践として、人工内耳の適応除外項目の正しい評価のため、重度聴覚障害児に周波数圧縮変換型補聴器を適合した場合の補聴効果の推移を評価した京都府立聾学校聴能言語室の発表、FM補聴器の評価を行うこと想定し、雑音を負荷した状態での音場語音検査方法を紹介した筑波技術短期大学からの発表があった。人工内耳やFM補聴器についてもその適切な適用と合わせて、ていねいな評価をどうすすめていくのかが重要となっていると感じた。

指定討論者から、音のイメージを出発点にした聴覚学習のすすめかたはどうあるべきか、今後の特別支援体制とも関わり乳幼児の分野を含めて学校における専門性の確立や充実をどうすすめていくのか、デジタル補聴器の評価をどうしていくのか、学校現場でしかできない日常生活での支援や評価をすすめるためにも今後の教育オ−ディオロジーへの期待などが提起され、協議が深められた。