3.早期教育−幼稚部


青森県立弘前聾学校

小嶋 朝子

早期教育(幼稚部)分科会には約90名が参加し、「幼児が主体性を発揮し、豊かな活動が展開できる保育環境を考えよう」というテーマのもとに11の発表がなされました。

午前中の5つ発表は、子ども同士が豊かに関わることを目指して題材の選択や環境の設定、支援の仕方を工夫し、成果を挙げた実践でした。私の勤務校は、3〜5歳児合わせて5名と少人数ですので、集団規模が小さい学校の発表はとりわけ興味を持って聞きました。その中で、年齢枠をはずしての活動時間を多く設定したり、教師も遊びのメンバーとして参加したり、活動によっては他学部の児童・生徒や教師をも巻き込んで発展させたりしている様子が紹介されました。また、実態を把握するための発達段階表を工夫し、それをもとに教師間の共通理解を図ったり、実践後すぐにカンファレンスを開いて話し合ったことを次の活動に生かすなど、教師集団として連携しながら取り組んでいる様子がうかがわれました。

指定討論者の島村先生から、@遊びの経験が少ない子どもに対しては、教師が遊びのきっかけを作ることも時には必要であること、A教師は、子どもとともに活動する「Playing Manager」として遊びの渦を作りつつ、遊びの「この先」を見通し、子どもたちの気付きを先取りしない形で支援していくことが大切であるということなどについて、ご助言をいただきました。

午後は、人工内耳装用児に関する発表や、龍の子学園による日本手話を用いた教育の発表など、6つの発表がありました。

協議の中では、人工内耳を巡る倫理的な問題や、日本手話から書記日本語へどう結び付けていくのかということについて、たくさんの発言がありました。本分科会のテーマからずれてしまった感がありましたが、そのような話題が出るということが、今の聾教育のおかれている状況を示しているようにも思われました。会場からの「完全な方法はない。個に応じるとは、まさに一人一人に対する方法が違うということだ」という意見に共感を覚えつつも、それを実現しながら集団としての活動を育てていくのは容易なことではないと思いました。

最後に、指定討論者の武居先生から「それぞれの指導法を『良い―悪い』、『正しい―間違い』と分けられるものではない。それぞれの方法で実践を進め、またこの場に持ちよってほしい。『聴こえないから、言語獲得のために厳しく指導する』というのではなく、大人が環境を整えることで、子どもたちが本来持っている生得的な力を生かせるようにしなくてはいけない。聾教育はもっと子どもを信じてもよい」というご助言をいただきました。 発表数が多かったため、協議に十分時間をかけられなかったことが残念でしたが、多くの事を学ばせていただいた分科会でした。