1.コミュニケーション


三重県立聾学校

藤井 孝

第1分科会「コミュニケーション」では、『子どもたちの「生きる力」をはぐくむコミュニケーションのあり方について考えよう。』というテーマに基づき、(1)「豊かなコミュニケーション能力を高めるために〜自立活動における個別の指導計画に基づいた実践を通して〜」(宮城県立聾学校) (2)「学校手話のCDについて」(宮城県立聾学校) (3)「聴覚障害児教育における早期のコミュニケーションについて」(兵庫県立こばと聾学校)の3レポートが発表された。研究会の全体的な様子は、レポート一つ一つについて丁寧に報告が行われるとともに、参加者全員がその内容を詳細に討議することが出来た。また、参加各校の現状や課題が討議の柱に沿った内容で報告される機会もとられ、全国の状況を知る良い機会になった。さらに、司会担当校が事前に参加各校にアンケートをとり分科会において話し合いたい内容や課題について意見集約をしてもらってあったので、焦点化した話し合いが出来た。

さて、具体的な分科会の流れは、午前中はレポート発表と質疑、午後は発表内容に基づいた柱立てに沿った情報交換と研究協議が行われた。討議を方向付けるためにの柱立ては、@個に応じたコミュニケーションと集団としてのコミュニケーション Aコミュニケーション手段と障害認識 B家庭、地域、社会でのコミュニケーションという3つのものであった。

この柱に沿って各校の現状や課題が多く出された。@に関わることとしては、各校の実情に合わせて個別の指導計画が作成され、これに基づいた実践が行われていること。またそこから明らかとなってきた課題を修正するためにさらにその内容を豊かにしていこうと努力している状況も報告された。また一方では、すでに軌道に乗った活用がされ日頃の教育活動と密接に連携している姿も報告された。その中で個別の教育計画は、個々の児童の成長をしっかり見極める資料として活用していく意味が明確に感じられた。また、コミュニケーション手段についても論じられた。これについてはAの柱とも関わってくる課題であり、柱立てが相互にリンクしていくことで話し合いが深まっていった。ここで言われたことはメディア論ではなく、伝えあう互いが相互に分かり合える関係を築きあげることが重要であることが指摘された。手話、聴覚口話とその方法には違いがあるが、それぞれのメリットデメリットを十分吟味し何をどのように使っていくのかを見極めることで子供たちに生きた日本語が獲得されていくことになるという主旨の話し合いがなされた。Bに関わる内容としては、将来社会で生きていくための力を身につける実践活動を進めている、親が子供の障害を認識することの意味、また、学校の職員の意識が保護者の障害感にも大きな影響を与えている等の意見が出された。

最後に、指定討論者の小田先生からは、幼い頃どのようなコミュニケーション手段を取ってきたかがその後のコミュニケーション成立に深く関わってくること、障害認識が成長に伴って変化すること、通じる感覚を持たせることがコミュニケーション成立の第一歩であること等のお話しがあった。また、手塚先生からは、コミュニケーションの9つの基本と教師に求められる6つの基本的姿勢(@言葉に対して敏感であれ,Aコミュニケーションモードに精通しよう,B幅広い障害の理解と対応,C一般校の指導技術の活用,D指導記録の蓄積と活用,Eカウンセラー的資質を持つ)についてお話しをいただき、分科会を終了した。