寄 宿 舎 教 育

北海道高等聾学校
渥美 正江

東海道五十三次宿場町だったたたずまいを残す平塚の駅に降り立つと、駅の天井から『第37回全日本聾教育研究大会』と書かれた大看板が吊り下がっていた。職員の方々がプラカードなどで道案内に立っていられて、歓迎ムードで迎えられたおかげで、迷うこともなく、学校へ行くことができた。

校舎に入り、昔懐かしい板張りの廊下を抜けると、寄宿舎の玄関に出る。ススキやほうずきなどの秋の草花が大ぶりのつぼにゆったりといけられ、廊下には季節ごとの行事などの掲示物がはられていた。

寄宿舎の生活では「プライベートな生活の確保」が難しいと思われがちだが、こちらの寄宿舎にはそこここに共有スペースがあり、小学生から専攻科生まで1人ないしは2,3人部屋で1階に男子、2階に女子、玄関脇に舎監室があり、家庭的にくつろいですごせるように工夫されているようだった。四季に応じた行事や、誕生会などの様子がビデオ放映され、七夕祭りやどんど焼きなど平塚ならではの行事にも積極的に参加し、地元に溶け込んだ暮らしぶりがうかがえた。

公開授業では、木の温もりが心地よい、落ち着いた静かな雰囲気の教室の中で中学部の国語の授業が行われた。口型でも十分に読める言葉でも、すべて手話が伴っているのが印象的だった。また、カラフルなイヤーモールドをつけているのが発見だった。

分科会では、寄宿舎での生活のメリハリをつけるために、いろいろな行事を楽しむことも大切だが、舎生にとっては家庭と同じであり、あくまでも生活の中心であるから、すべての時間を能動的に、主体的に営む力をつける時間とするのではなく、ゆったりとどまったり、時には振り返る時間を持つことも大切である。「子供は親元で育つのが一番」という考え方も根強くあるが、私たち寄宿舎にかかわる立場の人間として、寄宿舎生活に求められる多様化に応えるべく更なる努力が必要だということが確認された。