高等部教育(専門教育)

筑波大学附属聾学校
武林 靖浩

全日聾研神奈川大会初日、平塚聾学校にて公開及び指定授業が行われました。樹のぬくもりを感じる校舎、洗練された外観の中で、落ち着いて授業を受けている生徒たちを見ると、恵まれた環境で羨ましく思いました。

専攻科の公開授業は、「職業科合同3Dチャット」で、3教室に分かれた17名の生徒が、校内LAN上の3D(アニメーション)仮想空間で、各生徒が作ったキャラクターを使い、広場に集い、会話をするという授業で、携帯電話のような文字情報だけのやりとりではなく、これからの時代におけるコミュニケーションのあり方に、一考を与えるものと感じました。

指定授業は専攻科1年生対象の選択授業で「電気基礎T」が行われました。内容はシーケンス制御の自己保持回路を使ってシリンダのピストン運動をさせる回路を作成するというものでした。この授業の興味深い点は、生徒がテキストを利用しながら、自ら考えて試行錯誤を行い、できるかぎり教員側からのアプローチをさけ、生徒の思考の流れで、進んでいく授業だった事です。まず授業は、生徒が本時に必要な部品・機器を準備し、前時で学習した回路を作成し、ピストンを動作させる押しボタンスイッチを、リミットスイッチに変える作業から始まりました。生徒たちは、3人で協力をし作成して行きます。1人の生徒が「この押しボタンスイッチをはずして、リミットスイッチと交換すればいい」と言い、交換を始めるが旨く動作せず、3人は行き詰まります。理由はリミットスイッチのコードが3本あり2つの端子にどうつなげるかが問題となります。1人の生徒が「3本全部を使うのではなく2本だけ使えばいい 」と提案し試行錯誤を行います。何度目かの試行錯誤で旨く動いたときに、生徒3人から達成感のある笑みがこぼれました。この笑みが何よりも大切なものだと言うことを、この授業を通して痛感しました。授業後、教室から帰る生徒に「授業はおもしろい?」と聞くと、「難しいけどおもしろい」と返事が返ってきました。生徒たちは、難しい事に3人で立ち向かい、それを乗り越えた事に対する充実感・達成感を感じている事を実感しました。

午後からは、高等部専門教育 研究分科会が行われ、「自ら学ぶ力を伸ばすために」というテーマで、活発な討議が行われました。討議の柱は、「自発的な学習意欲を引き出す指導について」です。「今回の授業では授業者は、サポートに徹して、生徒の自ら考え出していく課程を大切にした」という説明に対し、「授業者がヒントを出すタイミングで難しい点は」との質問があり。「教師がどこまで我慢できるかがポイントで、正解に近いところのヒントを与えることが難しい」という回答を頂きました。助言者の先生からは、「生徒の思考を整理してあげる様な質問を与えてあげれば良いのでは」との助言を頂きました。今後、生徒の思考の流れを育てるような、習うのではなく、学ぶ授業を心がけ生徒の笑みがこぼれる様に授業をして行きたいと思いました。主催校の先生方、大会役員、助言者の先生方、このような勉強の場を与えて頂きまして、心より感謝申し上げます。有り難うございました。