中学部(国語・理科)

佐賀県立ろう学校
石丸 直子

聾学校に赴任して3年、全日本聾教育研究大会に初めて参加させていただいた。今回は中学部教育のレポート依頼もあり、期待と緊張の中、平塚聾学校を訪れた。秋空の中、緑に囲まれた三角屋根のすてきな校舎が私を迎えてくれた。各教室の前には手入れの行き届いた学級園。そこここに配慮された校舎設計。私の勤務する佐賀ろう学校にはないエレベーター設置。言葉に視点をあてた教室環境整備等々、生徒一人一人を大切に考える思いが、学校全体に満ちあふれていた。

生徒たちが登校してきた。笑頚であった。お互いに今日のことを話しあっていた。先生の入室。談笑の輪が広がった。そして、9時。中3の自立活動の学習がはじまった。題材は「夏休みの思い出」発表。中学部のテーマは『自分で考え、自分らしく生きていくための力を養う授業の工夫』である。生徒一人一人が手話表現でこの夏休みの思い出を発表。その発表を文節ごとに読み取り、所定の用紙に書き取る学習であった。いわゆる〃相互読話〃の練習である。平塚ろう学校中学部の生徒たちは、互いの手話の読み取りもむずかしく、書く力も弱いので、基本にかえってこの授業を展開しているとの説明が午後の分科会であった。討議の中では、4点はど厳しい指摘があった。@正しい読み取りを学ぶ目的の学習なのに、まちがった手話表現があったが、その訂正がないまま、読み取りをさせていったのは残念であった。A一方的な発表の読み取りだけでなく話し合い活動を通して生徒の思いを発表し合う場面がなかったのが惜しかった。B読み取りのむずかしい生徒が、発表内容がわからないまま取り残されていた。自分がわからないことをどんどん聞いていける場面作りの手立てが必要だったのでは?C集団補聴器での聴覚活用の意思統一がなされていなかったがどうしてか?この4点には回答があったが、平塚だけに限らず聾教育に携わる者にとって常に心すべき基本的な視点であることを改めて考えさせられた。

指定授業は中3Bグループ国語Fお母さんの木』を参観した。我が子を戦争で亡くした母の気持ちを考え、発表するというむずかしい内容の授業であった。適切な表現力が弱い聴覚障害の子供たち。その子供たちが精一杯考えて出した言葉。その言葉の奥にある深い読み取りが、教師に求められているのではと、討議が白熱した。母は『生きてかえっておくれや』と言いたかったと、B君は思っていたのセは。しかし、その思いはあっても、言葉が見つからず、『母は、悩んだ』と答えたのではないかとの意見が出た。言葉育てに日記指導も入れながらの地道で誠実な取り組みには賛同の声が上がった。

久米武郎先生の助言の言葉でレポートを閉じたい。子供の脳内革命をおこそう。知的感動でゆさぶりを。言葉指導だけでは子供は育たない。日常的に教師自身が感動であふれる存在になろう。先生自身がゆさぶりをかけ、かけられる関係に。今、キンモクセイがいい香りですね。この感動の一歩を伝えることからはじめましょう。明日につながる発言であふれるろう学校をめざして。