幼 稚 部 教 育

岩手県立一関聾学校
中村 美代子


3歳未満児教育の公開・指定授業および授業研究会は札幌聾学校の乳幼児相談室で行われました。

元気の良い子どもたちの声と,どっしりしたたたずまいの校舎が私たちを迎えてくれました。教室にはテーブル上の「いがに入ったままの栗」や「枝付きの柿」が,秋を演出していました。子どもたち自らが「遊んでみたい」と思うような遊びコーナーがいくつも用意されており,ごっこ遊びのコーナーには,低いテーブルや椅子,棚を効果的に組み合わせて,空間を上手に利用していました。ドレスコーナーは,ドレスが選びやすいように展示されており,お気に入りのドレスに着替えて遊べるような工夫が随所に凝らされていました。

登校後は,朝の活動,クラスごとの朝の会が行われ,指定授業である「自由遊び」では前庭いっぱい,ままごとや泡立て遊び,缶けり鬼などで,思い思いに遊ぶ子どもたちの姿が見られました。下ろし金で削った石けんを使った泡立て遊びは本物のクリームみたいで,4歳児が遊びに没頭していました。また,缶けり鬼では先生も一緒になって興ずる姿があり,参観の立場や年齢を忘れて,思わず「いれて」と声をかけたくなるような衝動に駆られました。缶けりは,主に年長児が遊びに夢中でしたが,ルールを途中で確認したり,お互いに話し合っている様子も見られました。

午後の研究会では,「豊かなやりとりを通して,たのしく遊べる子どもを育てる」を研究テーマにすえ,「環境構成の見直し」と「保育カンファレンスの在り方」を柱にした討議がなされました。

環境構成については,子どもの興味・関心に基づいた再構成が大事であり,イメージにあうような環境に作り替えることが遊びを引き出したり,育てることにつながること。

保育カンファレンスについては,教師全員が遊びの姿や育ちをとらえることによって,子どもたち一人一人の理解を深めることができ,その上で,遊びを充実させるための支援方法を考える必要があるとまとめました。質疑の中では,「豊かなやりとり」をどうとらえるかなどのコミュニケーションに関わる話題が出され,年齢ごとの個別の指導の在り方や,話し合い活動の扱い方についても議論し合いました。基礎学力を支える日本語の読み書き能力を伸長させるためには,学校の状況や親のニーズはもちろんのこと,何よりも子どもたち一人一人の実態に即したコミュニケーションモードの選択が大切であり,安定した人間関係を作っていくことが,大事なことだと確認しました。

環境の再構成については,コーナーや遊びを整えて準備するだけでなく,子どもの発見を生かすことや,試行錯誤の中から子どもに探させたり,考えさせたりする場面をとおして,次の遊びに発展させる工夫が必要であるとの助言をいただきました。