◎「家庭教育を考える」保護者の部会


筑波大学附属聾学校PTA 副会長  丸谷 俊博


昭和57年の北海道大会から、保護者の分科会としてスタートした全日聾研分科会が見直され、このたび家庭と学校の連携を密にすることを目的とし、地区聾P連、全聾P連が中心となり、「家庭教育を考える部会」がこの北海道大会から発足いたしました。この第一回「家庭教育を考える部会」では、「聴覚障害児(者)が主体的に生き抜いていく力を育てるために、家庭は学校や地域との連携をどのように図れば良いかを考える」というテーマ設定で講演及び分科会が実施されました。参加者は、北海道を主体として九州、近畿、東海、関東、東北の合計180名。以下この記念すべき大会に参加した概要を報告いたします。

先ず山下全国PTA連合会会長、小川北海道聾学校PTA連合会会長が挨拶を行い、別府全日聾研会長の、さらに、後援をいただいている聴覚障害者教育福祉協会の山東昭子会長の祝辞をいただきました。、それらの要点は、「ゆとりの中で生きる力を培う」ことが求められ、その実現には保護者(家庭)と学校、地域の連携が必要であり、聴覚障害を持つ子供たちが社会性を身につけ、社会参加、社会自立できるように育成するために、その3者が建設的な意見及び情報交換を行い、児童・生徒及び保護者・教師の識見を高めてゆこうというものでした。

講演:田中雅之氏(わかふじ園施設長)について

同園は、聾学校の卒業生の就職先が無く家庭に返さざるを得なかった状況を改善し、手に職をつけ社会に送り出すことを目的に、昭和28年に無認可施設としてスタートしました。現在は、重度障害者や老人介護施設を含む8施設に拡張されています。当初手に技術をつけた後社会へ出そうとしたが就職口が無かったので、公的補助も受けつつ、施設自ら家具生産事業を始め、町々を巡る販売を経てその品質の良さから評価を得、信用が拡大し、同時に地域との交流も拡大していきました。現在は、パンも生産し好評を博しているが、園自体は経営的に苦しくなってきており、家具生産の工賃を来年は下げなければならない見込みだそうです。地域との交流という意味においては、入所者は、時間や規則に縛られる園内宿舎(近代的で清潔だが)より、所外に住み自由な生活をしたがっているとのことでした。

分科会:私の参加した第2分科会報告 座長は須藤先生(筑波技術短期大学)

小橋さん(長崎県立聾学校)は、娘さんが人工内耳手術後、自信・やる気が出たこと、長崎大学病院では現在まで94例の事例があり、9才までに人工内耳手術を施術(できるだけ早期に)することで言語獲得の可能性が高まること、人工内耳手術は、子供100db、大人80dbが成功すると20〜30dbまで改善されることを報告されました。岡本さん(立川聾学校)、中村さん(聾児をもつ親の会)は、バイリンガル聾教育重視の観点から、確立されつつある日本手話を第1言語とし、日本語を第2言語とする教育改革を主張されました。また、近藤さん(一宮聾学校)は、PTA活動を通じてよりよい学校作りを目指されてきたそうですが、全校70〜80名ではPTA活動は資金面も含め困難が多く、幼稚部から高等部までの各部のニーズも多様で幅があり、意志疎通と協力に様々な努力を行ってきた事例として、手話講習会、社会見学、交通安全指導、農業体験、バザー、講演会等の活動を報告されました。畑山さん(札幌聾学校卒業生)は、聴覚障害者としての自らの就職時及び現在の苦労を体験談として、就職会社説明会70社中60社が「聴覚障害者お断り」、今の会社でも一度声を出すと「聞こえる」と誤解されるため声を出していないとの報告は、聴覚障害者を社会に送り出そうとする我々保護者には身につまされるものがありました。

この部会に参加して、日々仕事に追われて子供の教育状況や環境を考える時間が無かった私にとって、聾教育を考える貴重な時間と機械を頂きました。主催団体はじめ関係の皆様に厚く御礼申し上げます。