20.寄宿舎教育


筑波大学附属聾学校

石井 清一

吹き抜けに自然光があふれている開放的なホール(食堂)を会場に、寄宿舎教育分科会は行われました。

まず、タイムスケジュールが配布され、追加を含め11件の研究発表、質疑応答、その後、その内容から2本の討議の柱を立て、研究協議することが示されました。

1本目の討議の柱は「相互理解を深め、豊かな人間性を育てるためにコミュニケーション能力をいかに高めるべきか」でした。

旭川校は、子どもの発するコミュニケーション手段を受け入れ、伝わったという経験を多く持たせることで、札幌校は、遊びの時間を実施し、朝礼で体験したことを発表させることで、釧路校は、ことば、話す意欲、社会性の3つの視点で取り組み、コミュニケーション能力を高めたという発表がありました。

宮城校の手話表現の調査では、寄宿舎生活の場面で使われる手話表現にばらつきがあること、口話、手話ともに期待していたほど情報の伝達ができていないとのことでした。他校のコミュニケーションモードの状況が報告されると、座長より、「子どもの状況に応じて、一番大事なことは何かを見極めることが大切」という助言を頂きました。

附属校の携帯電話の指導に関して、他校からも状況や取り組みの報告がありました。

2本目の討議の柱は「自己の生活を見つめ、心豊かに充実した毎日を過ごさせる寄宿舎生活の指導はいかにあるべきか」でした。

生活を豊かにするために、帯広校は「9つの仮説」をもとに個々の舎生にめあてを設け、室蘭校は「生活指導要素表」をもとに、「段階目安確認表」で実態把握した環境づくりを行い、水戸校は話し合い活動、附属校は煎茶道、群馬校は食生活、大宮校は学校、家庭との連携とスポーツチャンバラと、それぞれの取り組みについて発表がありました。これらの研究発表から、日課、自治会活動、リーダーの育成、地域交流、余暇利用、週五日制の各校の状況を話し合いました。

学校教育法により、「寮母」の名称が「寄宿舎指導員」に改められた最初の寄宿舎教育分科会でした。そのためではないでしょうが、発表者、参加者の中に男性寄宿舎指導員の方が例年より多くみられました。さらに、聴覚機能に制約のある寄宿舎指導員の方の発表、発言も多くあり、4人の手話通訳者の情報保障により、活発な討議がなされ、分科会を盛り上げていていました。

寄宿舎生活においても、舎生が多様な立場の方とコミュニケーションする機会を持つことで、その方法、内容を広げ、そこから、自ら主体的に活動しようとする意欲を生み出すことができることを分科会を通して考えることができました。