16.早期教育−幼稚部


福井県立ろう学校

宮本 りつ子

本分科会では、「幼児一人一人が生き生きと活動し、心豊かに発達する指導について考える」というテーマに基づいて、全国から集まった36名の先生方と、9本の研究発表と質疑を行いました。また、討議の柱「子どもたち一人一人の育ちを支える指導内容や指導計画はどうあるべきか」についても話を持ちました。

研究発表は、デフファミリー、人工内耳、併せ持つ障害など多様化する子どもたちの実態にあわせた個別指導における研究や、集団の中で豊かに伝えあうこと、遊びが広がるための支援、援助についての研究、基礎基本の定着を図るための効果的な指導方法や教材教具の工夫についての研究、言語の構造と機能を考慮した言語指導の研究、共感性の弱い子と親への支援の研究等、充実した内容で、どの発表も、各校の先生方が、日々、実践と研究を積み重ねてこられた示唆に富むものばかりでした。また、分科会中の活発な質疑応答や意見交換は勿論ですが、休憩中もそこここで情報交換や交流が行われ、同じ聾教育に携わる者同士の切磋琢磨する姿がみられた分科会であったと思います。

この分科会で心に残った言葉を2つほど書き留めておきたいと思います。

ひとつは言葉や表現の『豊かさ』というと、表出の面ばかりが強調されがちななか、じっくりと聞けることや返せることも大事だということです。その子がどのような手段でどの程度の内容を理解できるか、できないのか、という子どもの受容の実態を見極めておかねばならないと再確認させていただきました。また、もうひとつは「遊び」の中で、やりとりを基本に考えながらも、幼児期の発達段階の子どもたちの「遊び心の芽」を育て、かかわる者との間で「心の自由度」、「行き先の自由度」の広がりが保証されるように、教師がどう誘いかけ、かかわり、引き際を見極めるかが大切だということです。教師根性を出して、結局遊びの邪魔をしていることが多いという言葉に苦笑するしかなかった私です。

つい忘れがち、陥りがちになりそうなことですが、しっかりと子どもを見る目を持ち、子どもの心に沿うことを忘れずに、子どもたちの言葉と心を育てていきたいと思いました。

最後に座長の松本先生より、信頼し合う中で人は育ち合う。子どもの健康な自尊心、安心感を育んでいくために、教師自身が魅力ある人間かを問い直してみる必要性がある。マイナス評価で伝えがちな子どもの姿を、プラス評価で母親たちに伝えることができるよう、子どもの変化、成長を見逃さない目を持たなければならない。子どもを育てているが、結局は自分自身を育てているのだ、という言葉を頂いて会は締めくくられました。

本分科会で得られた糧を、また、明日からの教育実践につなげていきたいと思います。本当にありがとうございました。