3.国 語 科


福岡県立久留米聾学校

金子 真由美


今大会での国語の分科会は「国語に対する関心を高め、目的に応じて表現したり的確によみとる能力を育成する指導について考える」というテーマのもとに、10本のレポートが出された。座長から、事前に協議の柱として@国語科を支える言語活動A個々の発達に応じた意欲を育てる活動B書く力の基礎C読みの教材研究・授業研究の4本が立てられた。また、主に読解に関する内容の5本のレポートは後半に発表順を入れかえて発表がなされていった。

まず、岡山聾学校の、日本語の系統的な指導からアプローチを試みた報告では、その具体的方策が多く提案された。平塚聾学校からは、視覚を生かした書写書道の授業実践がビデオを使って報告された。機器の活用という点で、有効な資料提示の方法として印象に残った。また主体性を高め学習意欲を喚起する観点からの実践レポートの報告が多かったのも特筆できる。中でも名古屋聾学校の漢字習得のための学習過程の工夫やチャレンジの方法はユニークな取組と思われた。さらに釧路、旭川、水戸、群馬、千種聾学校などの授業実践や授業研究を積み重ねた報告は、客観的な分析や評価の姿勢がみられ参考になった。とはいえ、時間の制約もあり報告したいことの全部を言い表せないもどかしさが、どの発表者にも感じられ、質問に答える形での補足説明が多く見られた。酒田聾学校は個別指導の充実のための取組を、また水戸聾学校からは学年対応教材に迫っていくための実践が報告された。広島聾学校の発表は、手話導入における書記日本語指導の具体的アプローチに関する報告であった。豊富な実践の資料と児童の変容を分析的に調査しながら、手話導入の試みをされている先生方の熱意が伝わる発表であった。この発表には質問や意見が活発に出された。読書力検査の結果等から文法力が無くても読書力は高まるのかという質問に対し、発表者からは理由や根拠を述べる例を取り上げて「思考力」を育てることの大切さが強調されていた。

午後3時から全体的な協議の時間をとって意見を述べ合い、座長からの助言を聞いた。理科的内容の説明文の取り扱いにおける国語科のねらいについては、読みのレベルを高めること、個々の子どもの目標の設定、抽象的だが「学び方の力」をつけていくことが大切なのではという意見も出された。また、文法習得の順序はあるかという質問に、広島聾の先生より、日本語の獲得は「早期教育からすでに始まっている。」という主張にコミュニケーションモードの問題を越えて、参加者の一致した思いだったのではないだろうか。最後に座長の垣谷先生が、口話と手指メディアの話に触れながら、聞こえない子が文化の遺産に浴せるようにと、また先生方が日々の聾教育に熱心に取組んでおられることが心強いと感想を述べられ終了した。本分科会は要約筆記のみで手話通訳がつかなかった。今後は十分な情報保障が図られるように望みたい。