2.基本問題 II

コミュニケーション



愛知県立岡崎聾学校

成瀬 和子


第二分科会「基本問題2」(コミュニケーションを含む)の分科会テーマは,「言語力の向上を目指し、発達段階や障害の頻度に応じた円滑な人間関係を培う指導について考える。」でした。本大会の分科会としては最大数の41名の参加者がありコミュニケーション問題への関心の高さを反映していました。それに比べて発表件数は3題だけで、やや拍子抜けの感がしました。逆に1つの発表当たりの質疑応答や研究協議の時間がたっぷりあり充実した話し合いができました。情報保障などにも行き届いた配慮がなされ、参加者が互いに顔を見ながらの話し合いでした。

印象としては、比較的聾教育経験の浅い、若い人の参加も多く、率直に自分の疑問をぶつけて自己の課題解決を図ろうという姿勢がうかがえる雰囲気でした。参加者全員が意見を述べることができたのもよかったことではないかと思います。

札幌聾学校小学部の「一人一人の伝え合う力を育む指導法の研究」は、生きる力でもあるライフスキルという概念をもとに、確実に意思を伝え合う力をどのように児童に育てるかというねらいの実践であり、全ての聾学校、聴覚障害児にとっての共通の課題でもあって、どの参加者も大いに示唆を受け参考になるものであったと思われます。いろいろな場面を想像してジェスチャーで演じて、この人はどんな気持ちや状況なのだろうかとかを伝え合うもので、場面設定の仕方やロールプレイやディベートなどの学習の進め方なども勉強になりました。札幌聾学校小学部全体で取り組んでおり、同校の研究紀要に詳しく述べられているのでぜひご参照ください。

上越教育大学の「聴覚障害幼児と母親の遊び場面における手指コミュニケーションの分析」は、母親も聴覚障害の母子のコミュニケーションを詳しく分析したものでした。そうした分析手法は学校でも参考にすべき点があると感じました。

滋賀県立聾話学校の西垣先生の実践報告は子どもが友達や先生の意見を「見て分かる」コミュニケーションの中で確実に知り、「わからないこと」に気付き、自分で分かろうとする意欲を身につけることをねらいとしていました。教師が児童と目線の高さを同じにする、注視できるコミュニケーション・モダリティの工夫、口形をはっきりと表す、児童に合わせたコミュニケーション・モードの工夫などを行っている様子がよく分かりました。

3つの研究発表と協議の中の意見などからコミュニケーションを活発にするための様々な工夫や子どもの気持ちや子どもに合わせたコミュニケーション・モードの選択など大変勉強になりました。やはり、この分科会の議論の中心は、子どもたちにとって本当に必要であり、かつ心を表出できるのは口話か手話かという話し合いに発展していきました。全参加者が意見を述べたのを聞いていて、手話を積極的に取り入れている聾学校もありましたが、まだこれからという感じの聾学校の方が多いような状況でした。