小 学 部 低 学 年 教 育

三重県立聾学校  岡 美佐



「本に親しむ子どもを育てるためにはどうしたらよいか」をテーマに、前半に札幌聾学校の小学部の取り組みについての報告がありました。札幌聾学校では3年間の継続研究として、このテーマに取り組んできたそうです。進んで本を読む子ども、読むことを楽しめる子どもを育てるためにどのように環境を整え、どのように取り組んできたのか、VTRも使いながら詳しい報告がありました。子どもたちを8つのグループに分けて、各グループの実態に応じて読み聞かせや紙芝居をしている様子や「おはなしおばさん」を招く取り組みなど、興味深く聞かせていただきました。また本の選択や客観的な評価の方法など、今後の課題についても報告がありました。

後半は、3年生の指定授業についての研究協議が行われました。題材は光村図書の国語「ちいちゃんのかげおくり」でした。まず授業者の先生から、現代の子どもたちにとって、戦争という時代背景はむずかしいこと、しかしていねいに読んでいく中で学級として共感できる部分を持ちたいというお話がありました。またこの題材を扱うに先立って、戦争に関する本やビデオなども子どもたちに見せたそうです。授業の中でも、白黒の絵に色を塗らせて子どもたちに戦争のイメージを持たせる工夫をされていました。教室内も掲示物などが豊富で楽しい雰囲気でした。

この日の授業のポイントは、お母さんとはぐれてしまったちいちゃんの不安な気持ちを読み取ることでした。この点について参加者から、「空襲の恐ろしさの押さえをどのようにされたか」「ゲーム世代の子どもたちに戦争を扱った物語を指導するにあたって、ビデオや本だけではなくドキュメンタリーを見せてはどうだろうか」「絵に色を塗らせるときは、その色を塗った根拠なども話させてはどうだろう」「『お母ちゃん、お母ちゃん』と書いてあるところを、子どもたちにどのように読ませるか、ここからちいちゃんの心情に迫っていくとよいのでは」など、さまざまな質問や意見、感想が出されました。さらに、大切な部分を視覚的に確認できる板書の工夫や大切さについても意見がありました。

この授業研究分科会が、前半の報告も含めて1時間というのはやはり短く、盛り上がってきたところで時間切れになってしまったのは残念でした。しかし、日々低学年の授業で四苦八苦している私にとって、1時間の授業の組み立てや個々の目標の設定、登場人物の心情に迫っていく切り口など、あらためて考えるよい機会をいただきました。授業をしてくださった先生、本当に大変だったと思います。ありがとうございました。