幼 稚 部 教 育


熊本県立熊本聾学校  今泉 洋子





明るい校舎、広いホールには子どもたちの作品や分かりやすくて楽しい掲示物があり、環境の素晴らしさを感じながら、授業を参観させていただきました。指定授業は5歳児・ゆり組の「あさのはなしあい」でした。6人の子どもたちが今度の学習発表会で何の劇をやりたいか口話中心の話し合いを行いました。それぞれ、おうちで読んできた絵本や絵日記を見せながら話しました。「さるかにばなしをやりたい」という友達に「私と同じだよ」という子や「(絵本を)見せて」という子。みんな友達の話をしっかり聞きたい、自分も早く話したいと、わくわくしている様子が窺えました。

ある子の絵本にシールが貼ってあり、どうして貼ってあるか考えさせられましたが、なかなか意見が出てきませんでした。先生は、本にはさんだ栞を見せ、シールと栞が似ていることに気づかせようとされました。他の友達の発表を知りたいときは、まず子どもに考えさせた後、「○○さん、何をやりたいの」と質問の仕方を指導しながら、やりとりを楽しむための手だてを教えておられました。

「ももたろうをやりたい」という発表を聞いた子ども達はさるやいぬ、きじになり、鬼役の先生をやっつけて、お話の楽しさを共有していました。子ども達の生き生きした活動から、日頃先生が大事にしておられる視点が窺えるようでした。

授業研究会では、開催校幼稚部の研究概要の報告と授業研究がありました。

発達段階をおさえた聴覚障害児の言語指導法の研究ということで、主に@発達段階における指導内容の方法について、A授業分析(授業研究、ビデオ授業研究)について報告がありました。発達段階は三段階に分けてあり、子どもの年齢だけにとらわれず実態に応じて指導をするということでした。また、日常の細かな言葉かけが重要であり、人とのかかわり方を(指導者の人となりを示しながら)示していくことが大切だということでした。

授業研究では、話し合い活動についての質疑が印象的でした。授業者からは5歳児として知ってほしいこと、伝えたいことを大切にし、子どもが何に興味を持っているか、子ども同士で何を知り合ったら楽しいかを考えて指導しているという報告がありました。しかし、子どもの言いたかったことは何だったのか反省しながら母親との懇談を大切にしているということでした。また、話し合い活動を支える個人の力を育てるためには、個別指導を行い、家庭との連携を深めながら行っているとの事でした。話題の進め方として、子ども達は絵本のことを話したがっていたのに、シールにこだわる必要はなかったのではという質問が出され、授業者からは自分で物事を考える子どもに育ってほしいという狙いだったとの説明がなされました。他に、本時の目標、交流教育、絵日記指導について等、多くの質問が出され、時間が足りない程の充実した研究会となりました。